2019 Fiscal Year Research-status Report
熱帯強風化土壌の肥沃度再考ーオキシソル土壌は貧しいのか?
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19K15952
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
柴田 誠 京都大学, 地球環境学堂, 助教 (40799607)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | Oxisols / Ultisols / ベトナム / 養分循環 / アカシア / 熱帯林 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、従来のように土壌中の養分ストックのみに焦点を当てるのではなく、土壌を介した養分フロー-すなわち土壌-植生間の養分循環機構-に着目する事で、「オキシソルという土壌は、従来考えてこられたように本当に貧栄養なのか?」を再考する。さらに、従来、オキシソルと共に「熱帯強風化土壌」として一括りにされてきたアルティソルを比較対象とする事で、「土壌型ごとに養分循環機構が異なるのではないか?」という仮説を検証する。両土壌型が分布する中部ベトナムに調査地を設定し、自然林・コーヒー畑・キャッサバ畑を土壌型と組み合わせることで、養分循環を支配するのは土壌型か或いは植生型か、それは自然生態系と農耕地生態系で異なるのか、を検証する。その上で、「土壌型を考慮する事で在来生態資源を浪費しないような持続的農耕は可能か?その場合、それぞれの土壌型に適応した農法とは何か?」を明らかにする。令和元年度における成果は以下の通りである。 ベトナム国の中部高原の隣接するOxisolsとUltisolsにおいて自然林区とアカシア林区をそれぞれ設定し、物質動態のモニタリングを開始した。さらに各プロットの表層土を採取して日本に持ち帰り、養分添加培養実験を行うことで、土壌微生物による養分獲得戦略について解析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、ベトナム中部高原の隣接するOxisolsとUltisolsにおいて自然林の物質動態モニタリングを開始することができ、必要な試料を採取することができた。また、比較対象として、当初計画ではコーヒー栽培区かキャッサバ栽培区を検討していたが、調査地域で最も一般的な土地利用であるアカシア植栽区を追加した。現地での物質動態モニタリングに加えて、土壌の室内培養を行うことにより土壌微生物による養分獲得戦略の解析も行うことが出来た。一方で、新型コロナウイルスの影響により令和2年2-3月に開始を予定していた植生の異なる比較対象区の設定・圃場試験の開始を見送った。このような現状に基づき、研究初年度の達成度を(2)おおむね順調に進展している、と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の現状評価に基づき、昨年度採取した各種試料の分析を進め、「土壌型ごとに養分循環機構が異なるのではないか?」という点の解析を開始し、植生の異なる比較対象区の設定・圃場試験の開始を目指す。
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Causes of Carryover |
上記の進捗状況に記したように、新型コロナウイルスの影響により令和2年2-3月に予定していた出張を延期したこと、その際に新たに設置予定であった植生の異なる比較対象区の設定に係る経費が持ち越されたことが原因である。延期した分は次年度に実施することを目的とし、今年度配分額を次年度使用額として保存し有効に活用することを計画している。
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