2021 Fiscal Year Annual Research Report
熱帯強風化土壌の肥沃度再考ーオキシソル土壌は貧しいのか?
Project/Area Number |
19K15952
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
柴田 誠 京都大学, 地球環境学堂, 助教 (40799607)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | Oxisols / Ultisols / ベトナム / 養分循環 / アカシア / 熱帯林 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、従来のように土壌中の養分ストックのみに焦点を当てるのではなく、土壌を介した養分フロー-すなわち土壌-植生間の養分循環機構-に着目する事で、「オキシソルという土壌は、従来考えてこられたように本当に貧栄養なのか?」を再考する。従来、オキシソルと共に「熱帯強風化土壌」として一括りにされてきたアルティソルを比較対象とする事で、「土壌型ごとに養分循環機構が異なるのではないか?」という仮説を検証する。令和2年度における成果は以下の通りである。 自然林の物質動態モニタリングのサンプルについて現地研究者協力の元、随時サンプルを回収し、日本で解析を進めた。表層の土壌pH(H2O)はオキシソル、アルティソルでそれぞれ3.8、3.9であった。0、15、30 cm深の溶液における年平均pHはオキシソルで4.9、4.3、4.2、アルティソルで5.7、5.0、5.0であり、いずれの層位もオキシソルのpHがアルティソルよりも低かった。オキシソルの年間硝酸態窒素フラックスは0 cmでは15 kg N ha-1 yr-1であり、15 cmでは32 kg N ha-1 yr-1へ増加した。また、全Nフラックスは0 cmではともに約30 kg N ha-1 yr-1であったが、15、30 cmにおいては、アルティソルで10 kg N ha-1 yr-1、13 kg N ha-1 yr-1と0 cmより減少した一方、オキシソルでは36 kg N ha-1 yr-1、35 kg N ha-1 yr-1と、0 cmと同程度であった。以上の結果から、オキシソルではアルティソルと同程度に低い土壌pH、より低い溶液pHにも関わらず硝化が起こり、鉱質土層における硝酸態窒素溶脱につながった。したがって、アルティソル同様に強酸性条件下に関わらずオキシソルでのみ活発な硝化活性の制御要因の解明が、今後の課題である。
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Research Products
(6 results)