2020 Fiscal Year Research-status Report
含生物起源メタン炭層に生息する未培養微生物群のメタン生成ポテンシャル解析
Project/Area Number |
19K15953
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Research Institution | Northern Advancement Center for Science & Technology |
Principal Investigator |
玉澤 聡 公益財団法人北海道科学技術総合振興センター, 幌延地圏環境研究所, 研究員 (90808627)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 炭層メタン / 生物的石炭分解メタン生成 / 微生物培養 / 微生物群集構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までに得られていた、褐炭層由来地層水を微生物接種源、水素/二酸化炭素や低分子量有機化合物(有機酸、アルコール、メチル化合物等)を基質とした複数のメタン生成集積培養系について、継代培養と経時的なメタンガス分析を行い、少なくとも4回以上の植え継ぎを経てもメタン生成能を有するメタン生成集積培養系を確立した。同集積培養物の微生物群集構造について、16S rRNA遺伝子ユニバーサルプライマーを用いた次世代シーケンスにより解析した結果、水素/二酸化炭素、有機酸やアルコール添加系では、水素(ギ酸)資化性のMethanobacteriales目やMethanomicrobiales目に属するメタン生成アーキアの配列が高い相対的存在量を示し、メチル化合物添加系では、メチル化合物資化性のMethanosarciniales目に属するメタン生成アーキアの配列が高頻度に検出された。一方、いずれの基質添加系(酢酸添加系を含む)からも、酢酸資化性メタン生成アーキアに近縁な配列は検出されなかったことから、褐炭層における低分子量有機化合物からの主たるメタン生成経路は、水素(ギ酸)/二酸化炭素およびメチル化合物を介するものと示唆された。加えて、接種源として用いた褐炭層由来地層水の微生物群集構造解析においても、水素(ギ酸)資化性メタン生成アーキアおよびメチル化合物資化性メタン生成アーキアの配列は高い相対存在量を示す一方、酢酸資化性メタン生成アーキアの配列は未検出であり、本培養実験を支持する結果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
複数回の継代培養を経ても安定したメタン生成能を有する集積培養系を確立し、微生物群集構造解析を実施し、各種基質に応答するメタン生成アーキアを特定することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までに得られている微生物群集構造解析データを軸に、添加基質およびメタン生成アーキアとバクテリアとの関係性を解析する。また、褐炭層由来地層水と各種基質添加集積培養物の菌叢を総合的に比較解析することで、原位置微生物による低分子量有機化合物からの褐炭層内メタン生成プロセスを再構築する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響により、学会や研究打ち合わせが中止あるいはオンライン開催になり、当初予定と比べて旅費支出額が大幅に減じたため。次年度は、情勢の推移を踏まえつつ対外発表や研究議論の機会を増やすことで使用する計画である。
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