2019 Fiscal Year Research-status Report
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19K15965
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
杉山 真言 北里大学, 獣医学部, 助教 (30648225)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 胚着床 / spacing / マウス / 妊娠 / 初期発生 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は研究目的遂行の基盤作りを実施し、以下の成果を得た。 ①組織透明化手技の確立:これまで感覚的に行っていた組織透明化方法の体系化を行った。研究責任者が使用している検出機器の輝度閾値に合わせた透明化方法を決定した。組織固定方法や、組織透明化界面活性剤、反応温度の条件を検討し透明化速度の向上、透明化の安定に成功した。 ②マウス交配率の向上:研究責任者の実験規模では準備しているマウスを確実に確実な日にちに実験ができるよう妊娠させる必要がある。生殖科学分野で最も基礎的なテクニックである膣スメアを用いた発情周期判定を見直した。マウスはオスの受け入れを行う発情前期に膣上皮最上層に出現する粘液細胞が剥離し、スメア上に現れる。この粘液細胞を簡易な特殊染色を行う事で、発情前期のメスマウスを高効率で検出することが可能になった。この技術を用い検出したメスマウスを精管結紮マウスと交配させることにより、胚レシピエント・マウスを高効率で作製することに成功した。 ③子宮内胚の位置取り:上記①②の技術を応用し、胚移植個体を高効率で得られるようになった。tgマウスの子宮内の追跡から胚の位置取りが開始される時期の判定に成功し、現段階としては有意義な知見を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究において着床時期の胚の時空間的な情報を得ることはもっとも重要な課題のひとつである。子宮内における胚の位置取りにおけるアーティファクトをできるだけ軽減する迅速な組織透明化技術の確立や、実験系でのマウス交配率の向上はいずれ3カ年で研究を遂行するために初年度で克服すべき問題であった。また、着床期における子宮内胚の情報を得つつあること、また当該時期の遺伝子発現解析のための材料が集まりつつあることなど、いずれも順調に推移しており、初年度としてはおおむね順調に実験を遂行していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後もっとも力を入れて進めなければならないのは、着床前後時期のイベントの同定である。引き続き、着床期周辺のサンプル確保に務める。20年度は文部科学省科学研究費助成事業、先進ゲノム支援の支援課題に採択され、20-21年で計画している着床誘導決定因子の候補の選定が進むと期待している。
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Causes of Carryover |
予定していたインキュベーターの購入を行わなかった一方で、予定外の消耗品購入の必要があり、使用額差額が発生した。本年度も引き続き当初の実験計画に即し研究費の執行を行う。
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