2020 Fiscal Year Research-status Report
Estimation of left ventricular filling pressure by echocardiographic evaluation of left atrial-left ventricular coupling
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19K15970
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
大菅 辰幸 宮崎大学, 農学部, 助教 (70816470)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 心エコー / 左心房 / カップリング / strain |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、僧帽弁閉鎖不全症(MR)の犬の臨床例を対象として縦断研究を行った。72頭のMR犬を組み入れ、各犬で心エコーにより左心房-左心室カップリングの推定を行った。47頭のMRのない健常犬を用いて左心房-左心室カップリングの推定指標の基準範囲を設定し、その基準範囲から外れた場合を「左心房-左心室カップリングが悪化している」と定義した。MR犬のそれぞれにおいて心エコーを実施した後に追跡調査を行い、心臓関連死が発生するまでの生存期間を記録した。Kaplan-Meier解析を行った結果、左心房-左心室カップリングが悪化している犬(n = 26, 生存期間中央値 484日 [95%信頼区間 283日 - not determinable)は左心房-左心室カップリングが悪化していない犬(n = 46, 生存期間中央値 not determinable [95%信頼区間 not determinable])と比較して生存期間が短縮していた(p < 0.001)。また、多変量Cox比例ハザード回帰分析を行った結果、種々の心エコー指標の中で、左心房サイズの上昇と左心房-左心室カップリングの悪化のみが独立した予後因子であった。上記の結果から、犬のMRにおいては左心房-左心室カップリングの悪化が生存期間の短縮と関連することが明らかになった。また、種々の心エコー指標の中で左心房-左心室カップリングはパワフルな予後予測指標となる可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請者の異動に伴い動物実験を実施する研究チームを新たに立ち上げる必要があり、実験動物を用いた研究については計画の遅延を余儀なくされた。一方、MRの犬の臨床例を用いた縦断研究については、想定以上に速く症例数を蓄積することが出来たため2020年度中に完結することが可能であった。
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Strategy for Future Research Activity |
動物実験を実施する研究チームの整備に完了したため、次年度はMRモデル犬を作製し、心エコーにより推定した左心房-左心室カップリングと左心室充満圧の実測値の関連性を調べる実験研究を行う予定である。
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Causes of Carryover |
申請者の異動に伴う動物実験の計画の遅延のため、動物実験に用いる実験器具に関する支出が少なくなった。また、研究の成果を発表するための学会がCOVID-19のために軒並み中止・延期となったため、研究成果発表のための旅費の支出が少なくなった。次年度は、動物実験を滞りなく実施できることが期待できるうえ、すでにいくつかの国内学会・国際学会において研究の成果を発表することが決定している。
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Research Products
(1 results)