2020 Fiscal Year Research-status Report
蛋白質凝集体および炎症反応を標的としたイヌ変性性脊髄症に対する新規治療法の確立
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19K15978
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
小畠 結 岐阜大学, 応用生物科学部, 助教 (00805442)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 犬 / 変性性脊髄症 / SOD1 / マクロファージ遊走阻止因子 / 筋萎縮性側索硬化症 |
Outline of Annual Research Achievements |
・イヌ変性性脊髄症の原因の一つと考えられている、神経細胞内におけるイヌ変異型SOD1蛋白凝集体の形成が細胞内小器官にどのような効果をもたらすか評価した。ヒト胎児腎293A細胞にイヌSOD1遺伝子をコードしたプラスミドをLipofection法により導入した。24時間インキュベートした後、小胞体ストレス関連遺伝子の発現量をreal time RT-PCR法により評価した。また、小胞体ストレスおよびオートファジー関連因子の発現量をウエスタンブロッティング法により解析した。イヌ野生型SOD1遺伝子導入細胞とイヌ変異型SOD1遺伝子導入細胞の間に有意な差は認めなかった。今回作製したイヌ変性性脊髄症のモデル細胞では、イヌ変性性脊髄症症例の神経細胞内で起こる変異型SOD1凝集体による細胞内小器官の障害を再現することができなかった。 ・細胞内マクロファージ遊走阻止因子 (MIF) 発現量を増加させる可能性のある治療薬候補として、MIF分泌阻害薬であるGlyburideおよびProbenecidに着目した。マウス神経芽細胞の培養液にGlyburideおよびProbenecidを添加した。その後、イヌSOD1遺伝子をコードしたプラスミドをLipofection法により導入し、イヌ変性性脊髄症のモデル細胞を作製した。細胞内MIF発現量および変異型SOD1凝集体量をウエスタンブロッティング法および免疫細胞化学により解析した。Glyburideの添加により、細胞内MIF発現量が増加することが明らかになった。しかしながら、イヌ変異型SOD1蛋白凝集体の有意な減少は認めなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
MIF分泌阻害薬の添加により細胞内MIF発現量を増加させることで、変異型SOD1凝集体形成および細胞内小器官にどのような影響を与えるかを検証したいと考えているが、現在用いているイヌ変異型SOD1一過性発現細胞では症例の神経細胞内での変化を十分に反映できていないと考えられるため。
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Strategy for Future Research Activity |
イヌSOD1蛋白の安定発現細胞株を作製する。作製した細胞モデルを用いて、Glyburideによる細胞内MIF発現量の増加により、変異型SOD1凝集体形成が抑制されるか検証後、細胞内小器官への影響を評価する。また、Glyburideの添加により細胞外MIF濃度が増加しないかELISA法を用いて確認する。当初の予定では、MIF分泌抑制薬の安全性試験を健常ビーグルを用いて行う予定であったが、Glyburideはすでにイヌにおける安全試験は実施されている (N. Jeffery et al., PeerJ, 2018)。したがって、イヌ変性性脊髄症モデル細胞での有効性が示された場合には、すぐにイヌ変性性脊髄症症例に対する臨床試験を検討する。
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