2020 Fiscal Year Research-status Report
壊死性軟部組織感染症に関与する細菌因子の網羅的選抜と機能解析
Project/Area Number |
19K15979
|
Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
山崎 浩平 北里大学, 獣医学部, 助教 (20836639)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | Aeromonas hydrophila / トランスポゾン / 壊死性軟部組織感染症 / virulence factor / 網羅的探索 / 運動性 / 毒素 / 菌体外膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
Aeromonas hydrophilaは壊死性軟部組織感染症を引き起こす病原細菌である。本感染症の特徴は短時間内に軟部組織において壊死症が進行し、その後、敗血症により感染者を死に至らしめることである。そのため、A. hydrophilaは短時間内で爆発的に増殖するための免疫回避機構や増殖因子、壊死症や敗血症を引き起こすための様々な病原因子をもつことが考えられる。本研究では、生体内で増殖および毒性に関与する遺伝子の網羅的同定を試みた。実験は1)トランスポゾンの細菌ゲノム上への転移によるランダムな遺伝子変異株の作製2)マウスモデルへの感染実験3)次世代シークエンサーを用いたマウス感染前後に存在する菌の比較により、感染必須遺伝子を網羅的に同定する。 昨年度、トランスポゾン挿入変異株ライブラリーの作製が完了した。さらに、ヒトの感染例で認められるような病態を発症するマウスモデルを確立することができた。そこで、トランスポゾン挿入変異株ライブラリーをマウスモデルに接種後、菌を回収し、次世代シークエンサーを用いて、Transposon Directed Insertion Site Sequencing (TraDIS)法による解析を行った。その結果、多くのトランスポゾン挿入変異株が感染後、生体内で排除を受けることが明らかとなった。特に運動性、毒素、そして菌体外膜に関連する遺伝子が多く検出された。運動性および毒素に関連する遺伝子のノックアウト株を作製し、詳細な解析を行った結果、運動性は病態形成に関与し、毒素は生体内増殖に関与することがそれぞれ明らかとなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
TraDIS法を用いた解析を1回行うことができた。その結果を整理し、A. hydrophilaの生体内増殖に必須の遺伝子を網羅的に選抜することができた。1回目の解析で選抜された運動性と毒素はそれぞれ、遺伝子ノックアウト株を作製し、より詳細な解析を行うことで病原性に重要な役割を果たすことが明らかとなった。この結果から、我々のTraDIS法による解析が正確に行われていることが裏付けられた。
|
Strategy for Future Research Activity |
TraDIS法の実施によって多くの因子が選抜された。しかしながら、数が多すぎるため、さらにTraDIS法を繰り返すことによって、病原因子の絞り込みを行う。また、1回目のTraDIS法の実施により菌体外膜に関連する遺伝子が多く選抜されたが、これらが病原性に関与するのか否か不明である。ノックアウト株を作製し、詳細な解析を行う予定である。
|
Causes of Carryover |
発注していた物品が、コロナウイルス等の影響により搬入されず、発注を取り消したため、次年度使用額が生じた。 残予算は次年度研究計画の消耗品購入費用として使用する予定である。
|