2019 Fiscal Year Research-status Report
Establishment of the methodology of fecal microbiota transplantation in dogs
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19K15986
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Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
五十嵐 寛高 麻布大学, 獣医学部, 講師 (20758172)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 腸内細菌叢 / 犬 / 糞便細菌叢移植 / 方法論 / 腸炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は糞便細菌叢移植療法の方法論確立の第一歩として、糞便の投与経路について検討を行うこととした。 過去3か月間にわたって一切の投薬歴が無く、血液検査・超音波検査で異常を認めない健常な実験犬6頭に対し、ドナー犬(別の飼育施設で管理している健常な実験犬)の糞便について懸濁・濾過処理を行った糞便液を経鼻食道カテーテル投与(3頭)または直腸内投与(3頭)にて移植した。直腸内投与をした犬については、その後30分間肛門を高く保持することで糞便液が漏れないようにした。 糞便細菌叢移植を行う前日および実施2週間後に糞便を採取するとともに、内視鏡検査を実施して十二指腸粘膜および下行結腸粘膜を採取した。また、糞便サンプルは糞便細菌叢移植の1週間後の時点でも採取した。得られたサンプルは16S解析用に直ちに-80℃で保存した。また、内視鏡実施時には病理組織検査用の粘膜サンプルも採取した。 今回、何れの投与方法においても糞便液投与手技によるトラブルは認められず、糞便細菌叢移植による合併症の発生を示唆する臨床徴候は全頭で認められなかった。また、血液検査や超音波検査上の新たな異常所見の発生も認められず、病理組織学的な変化も全頭で認めなかった。現在、得られた粘膜サンプルおよび糞便サンプルよりDNAを抽出し、各サンプル中の腸内細菌叢構成について16S解析を実施中であり、今後ドナー糞便の細菌叢構成と比較検討していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の研究計画書ではドナー便の処理方法に関する検討も行う予定であったが、世界的にも実験犬での糞便細菌叢移植の前例がないため、感染症の管理を含めた具体的な動物実験計画の作成に時間がかかり、実施には至れなかった。現在はそのノウハウも蓄積されてきているため、次年度以降に同様の問題が起こることはないと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、①ドナー便の処理方法、②糞便の投与量および投与回数の2点について実験を進めていく予定であり、その際には糞便中細菌叢を指標として行っていくことを想定している。本年度の実験により、糞便の細菌叢を効率的に変動させる糞便投与経路が明らかになるため、①および②の実験を行う際の糞便投与経路は本年度の解析結果に従って決定する予定である。
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Causes of Carryover |
糞便細菌叢移植の実施環境の準備に時間がかかり、一部実験が次年度へ延期されたこと、および本年度に行った実験も解析が完了していないため、予定されていた解析費用の多くが次年度へと持ち越されている。そのため大幅な差引額が生じているが、全て現在進行中の16S解析および次年度に延期された実験の費用に資する予定である。
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Research Products
(4 results)