2020 Fiscal Year Research-status Report
Establishment of the methodology of fecal microbiota transplantation in dogs
Project/Area Number |
19K15986
|
Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
五十嵐 寛高 麻布大学, 獣医学部, 講師 (20758172)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 腸内細菌叢 / 犬 / 糞便細菌叢移植 / 方法論 / 腸炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に行った糞便の最適な投与経路についての動物実験のデータを解析した。さらにShannon indexの変動を経時的に示すグラフでは、糞便細菌叢移植の実施1週間後には個体差が最小となり、その後拡散していく様子が確認された。このことから、糞便細菌叢移植療法による治療効果は実施1週間後に最も高まることが示唆された。これは炎症性腸疾患の症例犬において糞便の単回投与では一時的な治療効果しか得られなかったという報告や、3週間後との糞便細菌叢移植療法により長期的な寛解が得られたという炎症性腸疾患症例犬の症例報告とも合致する所見であった。 また、糞便におけるShannon indexの変動幅は大腸内注入群と比較した際、経口投与群の方が有意に大きいことが明らかになった。さらに、各群の糞便および十二指腸組織において一部の菌種構成比に有意な変動を認めた。また経口投与群の結腸組織でも菌種構成比に有意な変動を認めたが、大腸内注入群の結腸組織ではいずれの菌種においても有意な変動を認めなかった。これらの結果より、糞便の経口投与は大腸内への注入法と比べて同等以上に腸内細菌叢を変動させることが明らかとなった。この要因として、移植糞便中の菌体成分やその代謝産物が、大腸だけではなく消化管全体にわたって常在細菌叢や粘膜免疫などに影響を及ぼした可能性が考えられた。今後、臨床症例犬でも同様の細菌叢の変動が起きるのかについて検証を行い、最適な糞便投与経路について検討を進めていく予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
前年度に続く実験として、ドナー糞便の凍結保存による移植効率への影響に関する動物実験を行う予定であったが、コロナ禍に伴う緊急事態宣言を受け、所属大学における動物実験の中断・延期などの対応を行う必要が生じたため。現在、当該動物実験について、研究内容(特に実験期間)の修正を行いながら動物実験を再開している所である。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初の計画に準じて、ドナーの糞便を新鮮な状態または-20℃で1ヶ月保存した状態で移植した場合における糞便中細菌叢の移植効率への影響を解析していく。その後、糞便細菌叢移植療法における最適な糞便の投与量および投与回数についての実験に進んでいく予定である。
|
Causes of Carryover |
コロナ禍に起因する緊急事態宣言により、学内での動物実験が規制されたことによる実験の遅延が原因である。現在、実験実施者の感染防止策を講じつつ実験(ドナー糞便の保管方法に関する実験)を再開している所であるが、実験実施のタイミングの都合上サンプル採取後の16S解析が次年度に実施する予定となっている。そのため繰り越した金額については、この解析に関連する費用として次年度に使用していく予定である。
|
Research Products
(5 results)
-
-
-
-
[Presentation] イヌの純血種コロニーを利用したアトピー性皮膚炎に関連した口腔・腸内細菌叢の変動の解析2020
Author(s)
海野 朝香, 今西 市朗, 水上 圭二郎, 大隅 尊史, 五十嵐 寛高, 村上 裕信, 島 綾香, 石原 玄基, 宇根 有美, 阪口 雅弘, 内山 淳平
Organizer
第163回日本獣医学会学術集会
-