2020 Fiscal Year Research-status Report
ザンビアにおけるコウモリの新世界型回帰熱ボレリアの分布・拡散に関する役割
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19K15992
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
邱 永晋 北海道大学, 人獣共通感染症リサーチセンター, 助教 (00760985)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ボレリア / 回帰熱 / コウモリ / ザンビア / real time PCR |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究において、我々はアフリカのザンビアで発熱患者ならびにコウモリからヒト病原性新世界型回帰熱ボレリアの分離に世界で初めて成功した。しかし、なぜ北米大陸にのみ分布する新世界型回帰熱ボレリアがアフリカ大陸(旧世界)に分布しているのか、また、その多様性は未だ明らかとなっていない。そこで本研究では、ザンビアにおけるコウモリの回帰熱ボレリアに対する血清疫学調査と分子生物学的調査ならびに菌体分離と次世代シーケンス解析を通じて同地域 の新世界型回帰熱ボレリアの多様性やその分布・拡散にコウモリが関与しているかを明らかにする。 今年度は、Candidatus Borrelia fainii Qtaro株の菌体ならびにリコンビナントglpQ蛋白を抗原としたELISA系の開発を試みた。陽性血清としてCandidatus Borrelia fainiiに感染した患者血清を利用し、陰性血清としては複数の健常者の血清を用いた。リコンビナントglpQ蛋白を抗原とした場合は、有意な差が見られなかった。菌体を抗原とした場合は、一部の陰性血清でも陽性血清と同程度の吸光値となり、偽陽性となった。 また、ボレリアの16Sリボソーマル遺伝子を標的としたreal-time PCR系の評価を行った。その結果、遺伝子のコピー数が10~20個を検出限界ととする系であることが分かった。既存のフラジェリン蛋白質遺伝子を標的としたnest-PCRと同等以上の検出系を立ち上げることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19の流行により、ザンビアからの新たなサンプルの輸入が行えず、新たなサンプルの解析が行えなかった。また、国内の物流にも影響が出て入手できない試薬が生じたり、入手にすごく時間のかかる状態となったため、予定数の解析が行えなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
開発したELISA系だけでは、偽陽性も生じるため陽性陰性をしっかり区別できないことが分かった。そこで、本年度はウエスタンブロットも組み合わせた系の開発を試みる。それをもとに血清学的調査を実施したい。また、real-time PCRの系がうまくいっているため、本系を用いたスクリーニングを実施していきたい。
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Causes of Carryover |
欧州で行われる参加予定であった国際学会がCOVID-19流行のため1年延期となったため次年度使用が生じた。使用計画としては、次年度に参加するため旅費として使用予定である。
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[Journal Article] Isolation of Candidatus Bartonella rousetti and Other Bat-associated Bartonellae from Bats and Their Flies in Zambia2020
Author(s)
Yongjin Qiu, Masahiro Kajihara, Ryo Nakao, Evans Mulenga, Hayato Harima, Bernard Mudenda Hang'ombe, Yoshiki Eto, Katendi Changula, Daniel Mwizabi, Hirofumi Sawa, Hideaki Higashi, Aaron Mweene, Ayato Takada, Martin Simuunza, Chihiro Sugimoto
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Journal Title
Pathogens
Volume: 13
Pages: 469
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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