2020 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of innate immune memory mechanism in cattle and examination of innovative respiratory disease prevention method
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19K16002
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
石川 真悟 鹿児島大学, 農水産獣医学域獣医学系, 助教 (00755887)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 鼻腔粘膜生ワクチン / 牛 / 自然免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は鼻腔粘膜生ワクチン(MLV)を自然免疫記憶のトリガーとして用いる方法の検討を行うために、牛生体に市販のMLVを接種する投与試験を行った。投与からの継時的な変化を追うために投与前、投与1,3,7,14,21,28日後に採材を行ったA群(投与、非投与群3頭ずつ)、投与による一過性の変化を解析するために投与後14日後に1回だけ採取を行ったB群(投与、非投与10頭ずつ)に分け採材を行った。材料としては、末梢血、鼻腔スワブ、気管洗浄液、気管支肺胞洗浄液(BALF)を回収した。 投与によって、発熱、食欲の低下、呼吸数の増加といった副作用等は認められなかった。 全自動血球計数器を用いて解析した末梢血中の白血球数、赤血球数、ヘマトクリット値に投与群、非投与群間で有意差は認められなかった。 フローサイトメトリーを用いて解析したBALF中免疫細胞の割合およびマクロファージ貪食能に、投与群、非投与群間で有意差は認められなかった。一方で、投与群、非投与群間での有意差はなかったが、継時的な投与を行った群では、投与前と比較して投与後の7日目でBALF中マクロファージの割合が減少し、好中球の割合が増加した。このことから、BALFを回収するための内視鏡検査による影響についても検討しなければならないことが示唆された。自然免疫のトリガーとしてウイルス等病原体の構造である病原体関連分子パターン(PAMPs)のほかに、細胞のストレスによって放出されるダメージ関連分子パターン(DAMPs)があり、今後はDAMPsについての解析も進めていく予定である。 液性成分中のサイトカイン濃度、細胞中mRNA発現量およびヒストン修飾については、今後詳細な解析を行うために適切に保存処理を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、鼻腔粘膜生ワクチン(MLV)を自然免疫記憶のトリガーとして用いる方法の検討を行うための投与試験を実施することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度行った投与試験で採材した検体について、詳細な解析を進める。
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Causes of Carryover |
申請者の所属変更が決まったため、変更後の所属先で本研究のために採取した材料を保存するためのフリーザーを購入する必要ができたため。動物を用いての投与試験については他の経費と組み合わせて行うことができたので、本試験遂行への影響はない。
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