2019 Fiscal Year Research-status Report
牛白血病ウイルス感染によるB-1a細胞選択的腫瘍化機構の解明
Project/Area Number |
19K16006
|
Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
相原 尚之 麻布大学, 獣医学部, 助教 (50821732)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 牛白血病ウイルス / リンパ腫 / B-1a細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
牛白血病ウイルス(BLV)は、地方病性牛白血病(EBL)の原因ウイルスであり、Bリンパ球の1種であるB-1a細胞を選択的に腫瘍化する。BLV特異抗原と宿主サイトカインの共刺激によりB-1a細胞が選択的に腫瘍化するという仮説に基づき、以下の課題に取り組んだ。 課題1.BLV感染各ステージ(無症状期から腫瘍発症期)におけるBLV及びB-1a細胞の体内局在の解析:各ステージ(無症状期、持続性リンパ球増多症(persistent lymphocytosis: 以下、PL期)、腫瘍発症期)のBLV感染牛計10頭を病理解剖し、BLV及びB-1a細胞の体内局在を調査した。無症状期であっても、体腔内脂肪組織(大網、腸間膜、心冠部)において、CD5陽性B-1a細胞が優位に増殖し、同部位においてBLV遺伝子が検出された。B細胞受容体(BCR)可変領域PCRによるクローナリティー解析で、腫瘍発症以前の無症状期、PL期であっても、体腔内脂肪組織では選択されたクローンが増殖していることが示唆された。 課題2. B-1a細胞の選択的増殖に関わるサイトカインの同定:課題1により、B-1a細胞の選択的増殖が無症状期の体腔内脂肪組織において進行していることが示唆された。次年度は、この結果を受け、体腔内脂肪組織が腫瘍化進展の好適環境であると仮説を立て、同部位におけるサイトカイン産生細胞の動態を解析する予定である。 課題3.腫瘍化B-1a細胞BCR可変領域の個体間における共通性解析:今年度はEBL70症例の材料を収集し、BCR可変領域の解析法を確立した。次年度以降、個体間の共通性を解析する予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初設定した計画通りに各課題の解析が進行しており、また、今年度のうちに病理解剖症例及びEBL症例が次年度の解析に必要な数を確保できたことから、おおむね順調に進展していると考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度の取り組みにより、次年度以降の解析に必要な症例の収集と手法が確立したことから、当初の研究計画に従い研究を推進する予定である。次年度は学術集会での発表、次々年度の論文発表を予定しており、研究発表も推進していく。
|
Causes of Carryover |
本年度3月に予定されていた学術集会が新型コロナウイルス感染症対策のため中止になり、旅費相当分を翌年度使用額とした。次年度は複数の学会への参加を予定しており、その旅費として使用する計画である。
|