2021 Fiscal Year Annual Research Report
Investigation on a role of activation-induced cytidine deaminase (AID) for development of enzootic bovine leukosis
Project/Area Number |
19K16008
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
西森 朝美 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 動物衛生研究部門, 研究員 (80817578)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 牛伝染性リンパ腫 / 腫瘍発症機序 / B細胞 / AID |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ウシのB細胞性リンパ腫である牛伝染性リンパ腫(BL)の発病リスク因子の解明を目的として、突然変異誘導酵素AIDの発現・機能解析を実施する。最終年度は、癌関連遺伝子における体細胞変異の解析手法の構築、臨床検体を用いた変異解析、同定された変異部位におけるモチーフ解析を行った。 昨年度から継続して、ヒトB細胞腫瘍で変異頻度が高い21遺伝子を標的としたアンプリコンシークエンスの実験系を確立し、18症例のBL臨床検体(末梢血および腫瘍部位)において21遺伝子のエキソン領域配列を決定した。決定した塩基配列からSNPおよびIndelを抽出して、末梢血検体では認められず、腫瘍部位検体のみで認められる変異を体細胞変異と評価した。その結果、21遺伝子中5遺伝子(TP53, CREBBP, KMT2D, KRAS, NOTCH1)で体細胞変異が検出され、そのうちTP53遺伝子では全症例の83.3%(15/18症例)に体細胞変異が認められた。TP53遺伝子に変異がなかった3症例のうち、1症例ではCREBBPおよびKRAS遺伝子に体細胞変異が検出されたが、残りの2症例では解析した21遺伝子のエキソン領域内には変異が認められなかった。 臨床検体の変異解析の結果、合計21個の点突然変異が検出され、その変異様式はC(G)→T(A)が81.0%(17/21)、C(G)→A(T)が14.3%(3/21)C(G)→G(C)が4.8%(1/21)であった。また、点突然変異箇所の前後の塩基配列を指標にモチーフ解析を行ったところ、AID特有のモチーフとされるWRC/GYWに一致する点突然変異は28.6%(6/21)と少数であり、BL症例におけるAIDの変異誘導因子としての関連性は低いと推察された。一方で、C(G)→T(A)変異を引き起こす別の要因として報告されているCpGモチーフに一致する点突然変異は57.1%(12/21)であったことから、BL発症過程にはメチル化シトシンの脱アミノ化による変異導入の影響が大きいことが示唆された。
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