2019 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of the microbiome in the ear canals of dogs with and without otitis externa
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19K16011
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Research Institution | Anicom Specialty Medical Institute Inc |
Principal Investigator |
島 綾香 アニコム先進医療研究所株式会社(研究開発課), 研究開発課, 主席研究員 (00813859)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 外耳炎 / 細菌叢 / イヌ |
Outline of Annual Research Achievements |
外耳炎はイヌにおいて最も発症率の高い疾患の1つであるが、その発症メカニズムは十分明らかになっていない。本研究は、培養法と分子疫学的手法を併用した外耳炎罹患犬の外耳道細菌叢の経時的解析により、外耳炎の発症に関連する細菌叢や細菌群の同定、および外耳炎の発症における細菌叢の役割の解明を目的とする。また、外耳道由来細菌株の薬剤耐性、および病原性の解析により、外耳炎治療の最適化を目指す。 2019年度は、外耳炎罹患犬、および健常犬の左右の両外耳道よりスワブ検体を採取し、メタ16S解析、および細菌の分離培養を実施した。外耳炎群と健常群で外耳道細菌叢の構成を比較した結果、外耳炎群は健常群よりも外耳道細菌叢の多様性が低かった。さらに、同一個体において左右の外耳道の細菌叢を比較したところ、健常個体では左右にほとんど差が見られなかった一方、片側性に外耳炎を引き起こしている個体においては左右の外耳道細菌叢の構成が異なっていた。現在、外耳炎の臨床スコアと細菌叢の構成や外耳炎の治療、症状の消失による細菌叢の変化について解析を進めている。分離株については、16S rRNA遺伝子の解析により菌種の同定を行った。これまでに、過去にも外耳道からの分離報告がある、Staphylococcus intermediusやCorynebacterium auriscanis等の細菌が分離された。細菌叢解析の結果から外耳炎との関連が疑われる菌種については、ロングリードシーケンサーにより分離株の全ゲノム配列を決定した。また、現在、分離株の薬剤感受性試験についても順次実施中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度は外耳炎罹患犬および健常犬から外耳道スワブ検体を収集し、細菌DNAを抽出後、16S rRNA遺伝子のV3-V4領域を増幅し、次世代シーケンサーにより配列を決定した。同時に、外耳道スワブから細菌の分離を行った。分離株については、16S rRNA遺伝子の解析により菌種同定を行った。さらに、細菌叢解析により外耳炎との関連が疑われた分離株4株についてはロングリードシーケンサーによる全ゲノム配列の解析を実施した。以上のように、本研究は概ね当初想定していた計画通り進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、当初の計画通り、外耳炎の発症や症状の進行・消退に伴う細菌叢構成の変遷、および外耳炎の臨床スコアと細菌叢構成の関連について解析を実施する。また、分離株の細胞毒性試験、ゲノム解析、薬剤感受性試験を行う。具体的には、培養細胞に外耳道由来株の菌体、培養上清、抽出物等を作用させ、細胞の形態変化の観察、及び、炎症性サイトカイン等の各種遺伝子発現解析を行う。外耳炎との関連が疑われる株については、全ゲノムシーケンスを行い、病原遺伝子や薬剤耐性遺伝子等の探索を行う。また、外耳炎の治療に有効な薬剤を明らかにするために、分離株の薬剤感受性試験を実施する。
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Causes of Carryover |
培養細胞を用いた実験に伴う消耗品の購入が計画よりも遅れたため、また、メタ16S解析を実施した検体数が予定よりも少なかったため差額が生じた。次年度使用額については、追加で収集した検体のメタ16S解析の試薬購入と培養実験に伴う消耗品の購入に充てる予定である。
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