2020 Fiscal Year Annual Research Report
滑膜細胞のエピゲノム調節による炎症性サイトカイン発現制御機構の解明
Project/Area Number |
19K16015
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
佐伯 法学 愛媛大学, 学術支援センター, 助教 (80791607)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 関節リウマチ / 滑膜線維芽細胞 / エピジェネティクス / DNAメチル化 / UHRF1 / CCL20 / Apoptosis |
Outline of Annual Research Achievements |
関節リウマチ(RA)で認められるDNA低メチル化の制御機構は不明である。これまでに関節炎モデルマウスを用いて、(1)DNAメチル化促進因子Uhrf1が関節炎組織で高発現すること、(2)滑膜線維芽細胞(SF)のUhrf1は病態を負に制御すること、(3)SFのUhrf1はDNAメチル化を介してサイトカインや関節リウマチに関連する8遺伝子を負に制御することを明らかにした。また、ヒト臨床サンプルを用いて、(4)変形性関節症(OA)滑膜と比較してRA滑膜でUHRF1発現が有意に高いこと、(5)RA-SFに発現するUHRF1は前述の8遺伝子のうちCCL20を制御することを明らかにした。 本年度の研究では以下のことを明らかにした。臨床サンプルの解析において、OAとRAでDNAメチル化酵素群DNMTs(DNMT1、DNMT3A、DNMT3B)の発現に差を認めなかった。さらに、RA患者の疾患活動性のうち、SJC28、MMP3、CRPで滑膜組織のUHRF1と有意な負の相関が認められ、DNMTsとは有意な相関を認めなかった。また、CCL20はTH17細胞をリクルートするケモカインであるため、滑膜組織内のTH17の割合を解析したところ、SFのUHRF1発現と有意な負の相関が認められた。また、SFのUHRF1の欠損によりアポトーシス抵抗性の誘導が認められた。さらに、我々はUHRF1タンパクの発現維持化合物としてRyuvidineを同定した。Ryuvidineを関節炎モデルマウスに投与したところ、滑膜増生やCcl20発現を含む病態の抑制が認められた。 以上の結果から、RA-SFに発現するUHRF1は、DNAメチル化を介して多様な増悪因子を抑制する中心的なエピジェネティック制御因子であることが明らかとなった。UHRF1発現維持は新たなRAの治療戦略になることが期待される。
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Research Products
(3 results)