2020 Fiscal Year Research-status Report
in vivo インタラクトーム解析を革新する BioID マウスモデルの開発
Project/Area Number |
19K16019
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
村田 知弥 筑波大学, 医学医療系, 助教 (60713485)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | タンパク質間相互作用 / in vivo BioID / BMAL1 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度は、 BMAL1-ビオチンリガーゼノックインマウスを用いた検討において、皮下・腹腔注射によるビオチン投与では組織中でのBMAL1の相互作用タンパクのビオチン化を十分に引き起こすことができなかった。そこで今年度はビオチン投与法の改善を図り、ビオチン高含有餌をマウスに1週間自由摂食させることで、ノックインマウスの脳、心臓、肝臓、精巣において広範なタンパクのビオチン化を引き起こすことに成功した。一方で、腎臓については高ビオチン餌の摂食により、野生型マウスにおいてもタンパクのビオチン化が認められることが判明し、内在性ビオチンリガーゼの存在が示唆された。また幼若期から成獣期までの長期間の高ビオチン含有食はラットの精子形成を阻害することが知られていたが、今回用いた容量・期間では精子形成に影響を与えないことを組織学的解析により確認している。 さらに、より高性能なビオチンリガーゼの有効性を検証すべく、新たに遺伝子Xに対し高性能型ビオチンリガーゼをノックインし、X-ビオチンリガーゼノックインマウスを新たに樹立した。用いたビオチンリガーゼは先行研究においてタンパクとしての安定性が低いことが示唆されていたが、X-ビオチンリガーゼ融合タンパクは組織中で安定して発現していた。また、高性能であるが故に、生体内のビオチンを使い尽くし、通常飼育化でビオチン欠乏症のような状態に陥ることが懸念されたが、本モデルにおいては低体重や脱毛といった異常は認められなかった。また、このモデルにおいてはより低容量のビオチン餌投与でも組織中のビオチン化を引き起こせることを見出した。本モデルマウス組織よりビオチン化タンパクを精製し、質量分析解析を行ったところ、タンパク X の既知の相互作用因子に加え、多くのタンパクを同定することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
in vivo BioID assay において重要なビオチン投与法を確立できたこと(論文投稿中)、また高性能型ビオチンリガーゼノックインマウスの樹立・解析も完了し in vivo インタラクトーム解析の重要な基盤を確立できたと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、in vivo BioID assay のコントロールとなる、各オルガネラに局在するビオチンリガーゼのノックインマウスを作製し、in vivo インタラクトーム解析のマウスリソースを樹立する予定である。
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