2020 Fiscal Year Research-status Report
KMT2欠損子宮内膜がんモデル動物の開発:エピゲノム異常による発がん機序の解明
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19K16021
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
小林 良祐 群馬大学, 生体調節研究所, 日本学術振興会特別研究員(PD) (30802855)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | マウスモデル / 子宮内膜がん / エピゲノム / KMT2ファミリー / H3K4メチル化 |
Outline of Annual Research Achievements |
エピゲノムの異常は、細胞の遺伝子発現パターンを正常状態から逸脱させることにより発がんに寄与すると考えられている。しかし、これまで子宮内膜がんの発症におけるエピゲノムの関与に関しては十分に調べられていない。我々は、がん患者から得られた遺伝子変異に関する公開データベースを解析することによって、子宮内膜がんではヒストンメチル化酵素であるKMT2ファミリー遺伝子群に高頻度で変異が認められることを見出した。KMT2はエンハンサーやプロモーター機能を正に制御するH3K4メチル化を行う酵素ファミリーであるため、KMT2変異は様々な遺伝子の発現制御機構に重大な影響を与えると考えられる。本研究ではゲノム編集を駆使して子宮特異的KMT2欠損マウスを作製し、子宮内膜がん自然発症モデルの開発とエピゲノム異常による発がんの検証を行う。さらに作製したKMT2欠損がんのエピジェネティックな特徴付けを行うことで、がんエピゲノムの実態を明らかにしエピゲノム創薬の足がかりとすることを目指す。 本年度はCreマウスとfloxマウスとの交配を進め、Kmt2に関する子宮特異的ノックアウトマウス(uKO)を樹立した。さらに子宮の組織的観察や交配試験などを行い、Kmt2ノックアウトによる正常時子宮への影響を評価した。Kmt2単独ノックアウトによる発がんは認められなかったため、PTENなどKMT2変異がんでの併発的変異が認められる遺伝子に関する同時ノックアウトマウスを目指し、マウス系統の作製と系統間の交配を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
子宮特異的Cre発現マウスと各種floxマウスとの交配を進めることで、子宮特異的ノックアウトマウスを樹立した。また今後の解析に必要なマウス系統の作製を全て完了した。
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Strategy for Future Research Activity |
Pten, Kmt2ダブルノックアウトマウスを作製して形成した腫瘍を採取し、Pten単独ノックアウトで生じる腫瘍との間で形態的比較および分子生物学的比較を行うことでKmt2変異の意義を明確にする。Kmt2変異がんモデルマウスに対してステロイドホルモンや抗がん剤の投与実験を行い、Kmt2変異がんの生物学的特性や有効な治療標的を見出す。
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Causes of Carryover |
Kmt2ノックアウト子宮の次世代シーケンサーによるRNA-seq解析を予定していたが単独変異では腫瘍形成が認められなかったので、Ptenノックアウトを追加した系統で腫瘍形成を惹起した上で、最終年度にChIP-seqと合わせて実施することにした。また新型コロナウイルス流行の影響で、発表予定だった学会等が中止やオンライン開催に変更されたため旅費への支出がなくなった。
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Research Products
(6 results)