2020 Fiscal Year Research-status Report
アイソレーターを使用しないSCIDブタ長期管理技術の開発
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19K16028
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
原 弘真 自治医科大学, 医学部, 講師 (50751244)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 免疫不全モデル / ブタ / 感染症予防 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、マウスと比べてよりヒトに近い特徴を持つ、「ブタ」の免疫不全モデルが強く求められている。これまでに申請者らの研究室では、ゲノム編集技術を用いて重症複合免疫不全症(SCID)ブタを作出し(Watanabe et al., PLoS One 2013)、さらにSCIDブタの無菌管理技術を確立することで、その長期フォローアップを可能にした(Hara et al., Exp Anim 2018)。一方、アイソレーターを使用する無菌飼育下では、大掛かりな外科的処置を施すことができない。申請者が本研究とは別テーマとして実施している実験において、手術を行うためにSCIDブタをアイソレーターから出したところ、抗生剤の投与などを行ったにもかかわらず、1~3か月後に感染症により死亡してしまった。そこで本研究では、「無菌アイソレーターを使用しないSCIDブタの長期管理技術」を開発する。本研究内容が達成されれば、大規模手術を伴う試験にもSCIDブタを利用できるようになり、SCIDブタが新たな前臨床モデルとして幅広い研究分野の発展に大きく貢献すると考えられる。 本年度は、昨年度に策定したプロトコルを用いて、SCIDブタの長期飼育を行った。アイソレーターを使用せずに6か月間飼育する、という本研究の最終目標を達成することができた。 これらの研究成果の一部は、第68回日本実験動物学会総会 LASセミナー(2021年月開催、オンライン)において口頭発表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では、1.これまでに死亡したSCIDブタの死因を同定し、2.その感染経路を特定し、さらに、3.飼育個体の当該感染症の予防及び治療を行う、ことに より、「アイソレーターを使用しないSCIDブタの長期飼育技術」の確立を行う。 今年度は、昨年度に策定したプロトコルを用いてSCIDブタの長期飼育を行った。その結果、アイソレーターを使用せずに6か月間飼育する、という本研究の最終目標を達成することができた。 一方、新型コロナウイルス感染症の影響で実験が遅延したため、飼育実験終了時にサンプリングした組織の病理解析を終えられていない。そのため、進捗状況を「やや遅れている」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
飼育実験終了時にサンプリングした組織の病理解析を行う。 その結果をもとに、昨年度に策定したSCIDブタの飼育プロトコルをアップデートし、「SCIDブタの長期飼育プロトコル」を完成させる。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響で実験が遅延したため、飼育実験終了時にサンプリングした組織の病理解析を終えられていない。そのため、次年度はこの病理解析を行い、得られた知見をもとに、最終的な「SCIDブタの長期飼育プロトコル」を完成させる。
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Research Products
(1 results)