2020 Fiscal Year Research-status Report
ミスマッチ修復機構によるPCNAダイナミクス制御メカニズムの解明
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19K16042
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
河添 好孝 九州大学, 理学研究院, 特任助教 (60805422)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | PCNA / ミスマッチ修復 / クランプローダー / ツメガエル卵抽出液 |
Outline of Annual Research Achievements |
複製クランプPCNAは様々な因子の足場として機能することで、DNA複製や修復反応などを統制する必須因子である。PCNAのDNAへのローディングやアンローディングといったダイナミクスは、クランプローダー複合体によって制御される。真核生物においては、RFC、Ctf18-RFC、Elg1-RFCの3種類のクランプローダーがPCNAのダイナミクスを制御している。近年の解析から、Elg1-RFCがPCNAアンローダーであると考えられているが、試験管内ではRFCやCtf18-RFCもPCNAをアンロードできるため、それが唯一の経路なのかよくわかっていない。 本研究者は、ツメガエル卵抽出液をモデル系として用いて、予めDNAに結合させたPCNAのアンローディング反応を解析した。ツメガエル卵抽出液から、Elg1を免疫除去した場合PCNAのアンローディングは大きく遅延した。さらに、PCNAアンローディングの遅延は、精製Elg1-RFCを加え戻すことで回復した。以上の結果は、Elg1-RFCがツメガエル卵抽出液中における主たるPCNAアンローダーであることを示す。PCNAアンローディングは、PCNAと結合する分子を卵抽出液に加えるだけでも遅延したことから、PCNAアンローダーは何も因子の結合していないPCNAをDNAから解離させていると考えている。現在、PCNAアンローディングのどの過程が阻害されているのか(アンローダーのPCNA結合、もしくはPCNAをDNAから外す段階)明らかにするため解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ツメガエル卵抽出液を用いた解析では、主たるアンローダーの特定や、アンローディングを阻害する条件の特定など行うことができた。抽出液を用いた解析では、アンローディングの分子メカニズムの理解を進めることができており、解析自体は順調にすすんでいるものと考えている。一方で、PCNAアンローディング反応を試験管内で再構成する試みは今後の課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
Elg1-RFCは卵抽出液中での活性は確認できているものの、単独では活性が見られておらず、PCNAアンローディング反応の試験管内再構成系の構築は難航している。そのため、再構成の条件検討を続ける。卵抽出液を用いた解析は、論文執筆に向けて内容をさらにつめていく予定である。
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Causes of Carryover |
今年度は卵抽出液を用いた解析を優先したため、昨年度までに調製した卵抽出液や精製タンパク質のみで解析を行うことができた。新たに購入する試薬類や卵抽出液を作製するための物品購入費を抑えられたことで、次年度使用額が生じた。次年度は、タンパク質精製が継続して必須となる解析が主になると予測されるため、精製に必要な消耗品費やカラムなどの購入費に充当する。
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Research Products
(3 results)