2020 Fiscal Year Annual Research Report
翻訳と共役して起こる新生タンパク質の動的過程の系統的調査
Project/Area Number |
19K16044
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
藤原 圭吾 京都産業大学, タンパク質動態研究所, 研究員 (10814907)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 新生ポリペプチド鎖 / 翻訳アレスト / MifM / 枯草菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
リボソームで合成途上の新生鎖の挙動を調べる手段は限られており、翻訳と共役したタンパク質の成熟(立体構造形成、局在化、複合体形成など)が細胞内でどのように進行しているのかについて、プロテオームワイドな理解はされていない。本研究では、枯草菌MifMの翻訳アレスト配列を新生鎖の動的挙動センサーとして利用し、細胞内で起きるcotranslationalな動的イベントをプロテオームワイドに捕捉することを目的とした。 翻訳アレスト配列とLacZを融合したレポーターをトランスポゾンにして枯草菌の染色体DNAに挿入し、そのN末端側にさらに融合された時に翻訳アレストが解除されるようになる配列を500以上単離した。そしてこれらをcotranslationalに動的挙動を発揮し得るタンパク質配列としてリスト化した。また、変異解析を行うことで、cotranslationalな膜透過や膜挿入、タンパク質間相互作用やタンパク質-RNA間相互作用による複合体形成を本システムで捉えられていることを示した。これらの結果は細胞内で実際に数百種類ものタンパク質が合成の途中で成熟化や局在化を開始することを示すものであり、本スクリーニング手法をTnDR (transposable protein dynamics reporter) 法と名付け、これらの成果を最終年度に論文として発表した。また次の展開として、TnDR法による新生鎖動的挙動の捕捉を効率化するため、次世代シーケンサーを利用できるようにした次世代型TnDR法の構築に着手し、これが実現可能であることを確認した。
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