2020 Fiscal Year Research-status Report
ヒトTUT1によるRNAポリウリジル化の分子構造基盤
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19K16053
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山下 征輔 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 助教 (30769576)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ヌクレオチド転移酵素 / U6 snRNA / TUT1 |
Outline of Annual Research Achievements |
TUT1はU6 snRNAの成熟化を担う酵素であり、U6 snRNAを特異的に認識して3’末端にウリジンを付加する活性を持つ。U6 snRNAの3’末端はU6 snRNPの形成やスプライソソームのリサイクルに関わるため、その成熟化は真核生物の遺伝子発現に重要なプロセスである。 申請者らは本研究に先だってTUT1単体の立体構造の決定に成功し、生化学的な解析と合わ せてTUT1によるU6 snRNAに特異的なウリジル化反応の概要を明らかにしてきた。しかし複合体の立体構造は明らかになっておらず、完全な結合様式の解明には至っていない。本研究の目的は、これまでの申請者らの成果を発展させてTUT1とU6 snRNAの複合体立体構造解析を行い、その特異的な認識メカニズムを原子分解能で明らかにすることである。 本年度では昨年度に引き続いてTUT1-U6 snRNA複合体の結晶化スクリーニングを進めた。様々なタンパク質、RNAコンストラクトの組み合わせについてスクリーニングを行った結果、複合体の結晶を得ることに成功した。得られた結晶について大型放射光施設Photon Factoryを利用したX線回折実験を行い、予備的なデータセットを取得することができている。今後、さらなる結晶化条件の改善を進め、高分解能のデータセットを取得して立体構造を決定することで、TUT1によるU6 snRNAに対する特異的な認識メカニズムの解明を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
複合体の立体構造の決定において最も重要なステップである、TUT1とU6 snRNAの複合体の結晶の作成に成功しているため。今後さらに条件の改善を進めることで、本研究課題を達成することができると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
結晶化のコンストラクトや沈殿剤などの条件検討を進め、高分解能のX線回折データセットを取得して立体構造を決定する。得られた立体構造からTUT1によるU6 snRNA特異的なウリジル化の分子構造基盤を明らかにするとともに、生化学実験によって検証する。
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