2021 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19K16061
|
Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
古池 美彦 分子科学研究所, 協奏分子システム研究センター, 助教 (70757400)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 概日時計 / シアノバクテリア / 時計タンパク質 / X線結晶構造解析 / ATP加水分解反応 / リン酸化・脱リン酸化反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では(1)系統樹に基づき祖先型KaiCを復元し、(2)それらの性質を実験的に明らかにして地球自転との対応関係を考察する際、(3)分子構造基盤に立脚することで、藍藻の時計タンパク質KaiCが機能をいかに獲得したか、すなわち生体計時機構にとって必要な条件を物理化学、生物物理に基づいて明らかにすることを目的にした.
時計タンパク質KaiCは、試験管内においても24時間周期の化学反応を織りなす。KaiCはATP加水分解と自己リン酸化/脱リン酸化という二つの化学反応を触媒しており、その反応速度は地球の自転周期に対応している。そのため、祖先型KaiCを復元して活性や構造を調べることができれば、地球自転や概日時計の歴史に、タンパク質科学を使って迫ることができる。本課題研究では以下の三点について研究を進めた。(1)ホモログKaiCの系統樹を作成して祖先型KaiCのアミノ酸配列を推定する、(2)祖先型KaiCのATP加水分解反応や自己リン酸化/脱リン酸化反応を測定する、(3)現生型KaiCの動作機序の原子分解能における解明と祖先型KaiCの立体構造解明。
総評としては、2021年度の進捗は順調であったと評価している。まず本課題の根幹となる(1)は2020年度に完了した。200種を超える現生シアノバクテリアのKaiC配列を収集し、分岐点における祖先型KaiCのアミノ酸配列を統計処理により求めた。(1)の結果を踏まえて(2)では、実際に複数の祖先型KaiCのプラスミドを合成し、発現・精製・評価を進めた。復元されたKaiCの活性評価、計時システムとしての機能の有無を判別した。現生種、祖先種のKaiCについて、X線結晶構造解析に基づく複数の原子構造を構築することに成功した。(3)では、現生型KaiCのリン酸化状態サイクル全体をカバーする結晶構造を原子分解能にて明らかにし、二件の論文として発表した。
|
Research Products
(9 results)