2019 Fiscal Year Research-status Report
亜鉛輸送体とERp44による初期分泌経路タンパク質品質管理機構の解明
Project/Area Number |
19K16065
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
天貝 佑太 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (90773896)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ERp44 / タンパク質品質管理 / 初期分泌経路 / 亜鉛 |
Outline of Annual Research Achievements |
小胞体・ゴルジ体からなる初期分泌経路の内腔はタンパク質の品質が厳密に監視されており、不良タンパク質が細胞外に分泌しないように制御されている。PDIファミリータンパク質の一つであるERp44はゴルジ体において基質タンパク質を捕らえ、小胞体へ逆行輸送することで分泌経路のタンパク質品質管理に関わる。私たちは亜鉛イオンがこの機能を促進する事を明らかにしていたが(Watanabe, Amagai, et al., 2019 Nat Commun)、ゴルジ体の亜鉛制御機構はほとんど不明であった。本年度は、ゴルジ体に局在し細胞質からゴルジ体内腔に亜鉛イオンを輸送するZnT亜鉛輸送体に着目した。ゴルジ体に局在するZnTメンバーの一連の発現抑制実験をしたところ、特定のZnT発現抑制細胞においてERp44がゴルジ体に集積し、亜鉛を獲得できていないような表現型が観察された。ノックダウン/レスキュー実験によって、siRNA耐性のZnTを発現させた細胞ではこの表現型が回復するのに対し、亜鉛輸送活性のないZnTでは回復しなかった。このことから、この特定のZnTによるゴルジ体内腔への亜鉛取り込みが特異的にERp44に亜鉛を供給しているものと考えられた。さらに、共同研究によって開発した亜鉛プローブを用いることで、分泌経路内の亜鉛濃度の定量解析に成功した。各ZnT発現抑制によって、ゴルジ体内の亜鉛濃度が低下する様子が異なることが観測された。これまでゴルジ体に局在するZnTメンバーが異なる働きを持つ知見はほとんどない。今回の解析によって、ZnTメンバーは細胞内でそれぞれ異なる機能を持つことが示唆され、興味深い結果を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ZnT発現抑制によるERp44局在変化について定量的な解析を終わらせることができた。また、分泌経路内腔の亜鉛濃度定量とZnT発現抑制の影響の観測にも成功している。以上の最も重要な点について達成することができたので、概ね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
ZnTの発現抑制がERp44の細胞内局在だけでなく、細胞内機能を制御するか解析を行う。また、分泌経路内腔から細胞質へ亜鉛イオンを輸送するZIPファミリーにも着目して、各ZIP発現抑制細胞について同様の解析を進める。また、特定のZnTがERp44を制御する機構について解析するために、両者の相互作用を検討する。以上の解析を達成し、投稿論文としてまとめたい。
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