2020 Fiscal Year Research-status Report
オートファゴソーム形成おける膜伸張メカニズムの解明
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19K16071
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
小谷 哲也 東京工業大学, 生命理工学院, 特任助教 (10724643)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | オートファジー / リン酸化 / 出芽酵母 / オートファゴソーム |
Outline of Annual Research Achievements |
オートファゴソーム形成に必須のAtg2は脂質輸送活性を有し、小胞体からオートファゴソームへと脂質を供給していると考えられている。しかし、Atg2と小胞体との結合がどのように制御されているのかはよくわかっていない。本研究では小胞体との相互作用に重要であると示唆されているAtg2のN末端領域に着目して研究を進めた。 今年度はまずAtg2のN末端領域がオートファジー誘導時に何らかの制御を受けるのかを解析した。N末端にタグを付加したAtg2を発現する細胞の抽出液を2-ニトロ-5-チオシアナト安息香酸 (NTCB) で処理し、タンパク質をシステイン残基のN末端側で切断し、抗タグ抗体を用いたイムノブロッティングを行うことでAtg2のN末端領域のみを検出する系を構築した。この系を用いてAtg2のN末端領域の挙動を解析したところ、オートファジーの誘導依存的にアップシフトしたバンドが現れることが分かった。このバンドシフトはAtg2のオートファゴソーム形成の場への局在化にも依存しており、Atg2がオートファゴソーム形成の場で何らかの修飾を受けることが明らかとなった。 昨年度までにAtg2のN末端領域内にあり、近縁種間での保存性が高く、オートファゴソーム形成に重要でリン酸化される可能性のある二つのセリン残基を明らかにした。しかし、これらのセリン残基がオートファゴソーム形成のどのステップに重要かはわかっていなかった。オートファジー活性に欠損を示すアラニン置換変異体のN末端に膜結合性の両親媒性ヘリックスを付加すると、オートファジー活性が部分的に回復したことから、これらのセリン残基はAtg2の膜への結合に関与することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Atg2が結合する小胞体タンパク質の同定のためのAPEX法の条件検討を行い、これまで問題となっていた非特異的なビオチン化反応を抑えることができた。しかし、細胞内での発現量が少ないAtg2に付加したAPEX2依存的にビオチン化されたタンパク質を検出することができず、Atg2が相互作用する小胞体タンパク質の同定には至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
Atg2が相互作用する小胞体タンパク質の同定を引き続き行う。Atg2以外にも隔離膜に局在化することが知られている因子にAPEX2を付加することを検討する。NTCB処理によって検出されたAtg2のN末端領域のバンドシフトがリン酸化によるものかを解析する。また、これまでに知られているリン酸化部位とバンドシフトとの関係についても明らかにする。
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Causes of Carryover |
今年度はコロナ禍で思うように研究を進めることができず、消耗品の使用量が少なかった。次年度では消耗品費や質量分析機の使用料として使用する予定である。
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Research Products
(2 results)