2019 Fiscal Year Research-status Report
EGFRリガンドの性質を決定するO-GlcNAc glycanの機能解析
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19K16073
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小川 光貴 名古屋大学, 医学系研究科, 助教 (70727429)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | EGF受容体 / リガンド / Notch |
Outline of Annual Research Achievements |
EGF 受容体(EGFR/ErbB1R) は、上皮系や神経系などの細胞膜表面に発現する受容体型チロシンキナーゼである。上皮成長因子(リガンド)は EGFR に結合することで、EGFR の2量体形成が誘発され、EGFR シグナルが惹起される。興味深いことに、EGFR に結合するリガンドの種類によって、EGFR シグナルの「量的違い」だけではなく「質的違い」も生じていることが報告された。即ち、EGF がEGFRに結合した場合には左右対称(symmetry) の EGFR2量体が形成されるが、Epiregulin が結合した場合には EGFR の構造変化が生じて、左右非対称(asymmetry) の EGFR 2量体が形成される。この結果、EGF がEGFR に結合した場合は一過性に強いシグナルが下流に伝達されて MCF-7 細胞が増殖するのに対して、Epiregulin が結合した場合には持続的に弱いシグナルが伝達されて MCF-7 細胞が脂肪細胞様に分化転換する。しかし、EGFR シグナルの強度は、リガンドを分泌するガン細胞ごとに多様性があるので、EGFRリガンドの性質を制御する未知の因子がある可能性が高いことが示されている。 そこで本研究では、EGFRリガンドの性質を制御する未知の因子を解析することを目的した。その結果、EGFRリガンドに、ガン細胞ごとに特徴的なパターンを示す因子の存在を質量分析装置を用いた解析で見出した。また、それぞれの特徴的なパターンを示す因子の生化学的・細胞生物学的機能アッセイを実施した。その結果、ある癌細胞株由来のEGFRリガンドでMCF-7細胞を刺激すると、MCF-7は分化転換せず、細胞は増殖した。この結果から、EGFRリガンドに存在する因子は、細胞の運命決定を司る可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度に計画していた実験計画については、予定通り達成した。 特に、質量分析装置を用いた解析によって、EGFRリガンドにガン細胞ごとに特徴的なパターンを示す因子の存在を見出した。また、生化学的・細胞生物学的機能アッセイにより、それぞれの特徴的なパターンを示す因子の分子機能についても明らかになりつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に明らかにした特徴的なパターンを示す因子の機能を構造学的なアプローチから更に詳細に解析をする。今後、解析対象にする細胞を増やすことで、ガン細胞ごとに特徴的なパターンを示す因子の機能について更に詳細に解析したい。
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Causes of Carryover |
コロナの影響で予定していた出張がキャンセルとなった為。次年度使用額は8,193円と少額の為、消耗品を購入する予定である。
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Research Products
(18 results)
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[Book] 糖鎖生物学2020
Author(s)
北島 健、佐藤 ちひろ、門松 健治、加藤 晃一
Total Pages
306
Publisher
名古屋大学出版会
ISBN
978-4-8158-0981-2