2019 Fiscal Year Research-status Report
Molecular Mechanisms of recognition of G-quadruplex by Rif1, a conserved nuclear factor regulating chromatin architecture
Project/Area Number |
19K16082
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
覺正 直子 公益財団法人東京都医学総合研究所, ゲノム医科学研究分野, 研究員 (30599593)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | グアニン4重鎖DNA / Rif1タンパク質 / クロマチンループ / 高次構造 / 複製タイミング / RNA-DNAハイブリッド / 分裂酵母 / 多量体形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
分裂酵母のRif1 タンパク質とその標的 Rif1BS-G4 構造との相互作用による核内染色体ドメイン形成の機構を解析した。 1) Rif1結合部位を含むDNA塩基配列は、熱処理あるいは転写によりG4構造を形成する。S1 nucleaseや、DNaseIを用いた解析により、配列から予想されるようにG-rich鎖は長い一本鎖DNAループを形成すること、逆鎖(C-rich鎖)もS1 nucleaseに感受性の構造を形成する。2) 分裂酵母 Rif1(1,400 アミノ酸)およびその誘導体を Flag 抗体カラム、ニッケルカラムなどで精製し、それらのDNA 結合能、多量体形成能を解析した。その結果、 G4 結合ドメイン、多量体化ドメインは C 端の 229 aa, 91 aaに限定された。 C 端ドメインはそのサイズから 8~16 mer の多量体を形成すると推定された。また、 N端 444 aa 内にも、選択性がやや減少しているが、 G4 結合能が存在することがわかった。3) 分裂酵母hsk1キナーゼ変異体の相補能アッセイにより、C端のG4結合能が、Rif1の複製抑制能のために必要であることを示した。4) hsk1相補能を喪失した2種類の点変異L848S R236Hを単離した。L848Sはクロマチン結合能を失っているがR236Hはクロマチンには結合できる。5) Rif1 は、パラレルタイプの G4 構造がオリゴマーを形成した DNA 構造に高親和性に結合する(ゲルシフトアッセイによる)。6) Rif1 は、一度に複数の G4 構造 DNA に結合することができる(ビオチン化された G4 DNA を用いた pull downアッセイによる)。 これらの結果から、 Rif1 タンパク質の多量体形成のモデルを提唱した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
分裂酵母Rif1の機能ドメインを同定することができた。また、複製抑制能を喪失している二種類の変異体を単離同定した。Rif1結合部位はグアニンの連続配列が複数個存在する。それらがどのような構造を形成するか、詳細なヌクレアーゼマッピングにより決定した。またRif1がどのようなG4構造に選択的に結合するかを明らかにした。これらの知見に基づき、Rif1がG4を介してクロマチンループを形成するモデルを提出した。
|
Strategy for Future Research Activity |
得られた結果に基づき、Rif1とG4構造の相互作用の分子基盤を解明する。1)Rif1(全長、N端,C端ドメイン)タンパク質を大量に調製・精製し、クライオ電顕で、タンパク質単独およびG4との複合体の構造を観察する(米国Van Andel InstituteのHuilin Li博士と共同で)。2)C端G4結合ドメインポリペプチドを大量に精製し、結晶化し、その構造をX線構造解析で決定する(九州大学、神田大輔教授と共同で)。3)Phenyldiazirin photo-cross-linkerを用いてG4 DNA上のRif1タンパク質相互作用部位を決定する。4) C端にはG4結合ドメインと、多量体化ドメインの両者が存在する。多量体化のみに必要な変異体を発見し、多量体化の意義を明らかにする。Mn-PCRによるランダム変異導入を行い、単離されたすべてのクローンをnative gelによる多量体解析法により検定し変異体を取得する。5)最小同定された変異を、全長のRif1遺伝子上に導入し、染色体結合(ChIP-seqにより)、複製抑制能(hsk1変異体の抑制)などを解析する。
|
Causes of Carryover |
当初『 C端ドメインは大量調製が可能であるので、X線構造解析のための準備を行う(大量精製を行う)(2020年3月)。』という予定であったが、精製されたタ ンパク質が高濃度で不溶化するなどの問題に直面し、constructを作り直し、精製し直す必要が生じた。2020年9月までに、新たな組換え体を作製し、大量調製を行い、X線構造解析のための準備を行う(大量精製を行う)。
|