2020 Fiscal Year Annual Research Report
X線小角散乱と超遠心分析の統合的解析による時計タンパク質KaiCの溶液中動態解明
Project/Area Number |
19K16088
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
守島 健 京都大学, 複合原子力科学研究所, 助教 (40812087)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 超遠心分析 (AUC) / X線小角散乱 (SAXS) / 時計蛋白質 |
Outline of Annual Research Achievements |
シアノバクテリアが有する生物時計機構は3つの蛋白質KaiA・KaiB・KaiCで構成され、KaiCはKaiA、KaiBと相互作用しながらリン酸化度を24時間周期で増減させる。この興味深い生物時計機構の理解のためには、KaiCの溶液中の構造を理解することが重要である。本研究では、溶液中のKaiCの三次元構造を解明することを目的とした。 溶液中のタンパク質の構造解析のために小角散乱法は大変強力な手法だが、測定により得られる散乱プロファイルは凝集等の夾雑物に敏感に影響を受ける。そこで前年度開発したAUC-SAS法を用いて、凝集の影響が完全に排除されたKaiC 6量体のSAXSプロファイルを得た。このSAXSプロファイルを結晶構造から予想される散乱プロファイルと比較したところ、溶液中における回転半径は結晶構造のものと比較して大きいことがわかった。溶液中での構造を明らかにするため令和2年度は、AUC-SAS法によって得られたSAXSプロファイルを再現する構造モデルを粗視化分子動力学シミュレーションを用いて探索した。その結果、結晶構造では観測されていなかったN末端およびC末端側の天然変性領域を考慮したモデルがSAXSプロファイルを最もよく再現することが明らかとなった。また、これらの両末端は溶液中でランダムに揺らいでいることが示唆された。特にC末端の天然変性領域はリン酸化に寄与するKaiAとの相互作用部位であり、現在未解明であるKaiA-KaiC複合体の構造解析を今後行うにあたり重要な知見である。
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[Presentation] 超遠心分析と小角散乱の統合手法(AUC-SAS)によるタンパク質複合体の構造解析2021
Author(s)
守島健, 宮本洋祐, 清水将裕, 柚木康弘, 奥田綾, 佐藤信浩, 井上倫太郎, 裏出令子, 矢木宏和, 加藤晃一, 杉山正明
Organizer
2020年度量子ビームサイエンスフェスタ
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[Presentation] タンパク質会合体の精密構造解析のための分析超遠心, SEC-SAXSおよびSEC-iCM-SANSの統合的利用2020
Author(s)
佐藤信浩, 守島健, 井上倫太郎, 與語理那, 谷中冴子, 矢木宏和, 加藤晃一, Martel Anne, Porcar Lionel, 杉山正明
Organizer
日本中性子科学第20年会
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