2019 Fiscal Year Research-status Report
高度に機能制御されたナノダイヤモンド量子センサーの創出と応用
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19K16089
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
外間 進悟 大阪大学, 蛋白質研究所, 特別研究員(SPD) (00757635)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ナノダイヤモンド / 表面化学修飾 / 酸化処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、蛍光性FNDを細胞センシングに応用するために、高い均一性・分散性・細胞透過性を有するFNDを作成することを目的とする。本年度は研究計画に従い、粒子径が均一かつ球形なFNDの調整、FNDの高分散化、自発的に細胞内に移行する効果的な表面化学修飾法の確立に関する研究を実施した。 KNO3を550℃の高温で加熱すると液化し、この液化したKNO3は強い酸化力を持ち、FNDの角を削り取ることができ、この工程はエッチングと呼ばれる。粒子系が100nmのFNDに対して、500-600度、10-60分の条件でエッチングを行った結果、500度60分の条件で最も球形度が高いFNDを作成できることを明らかにした。高分散化に関しては、すでに確立された手法(Sotoma et.al., Nanomaterials, 2016)で良好な結果が得られた。また手法をさらに発展させ、カルボキシ基、アミノ基、アルキン基などの官能基をシングルポットで導入する合成法の開発にも成功した。さらに高度な機能化を目指し、ラジカル重合反応を応用し、FND表面のPDMAEMA: Poly(N,N-dimethylaminoethylmethacrylate)コーティング法を開発しており、赤外分光法、動的光散乱法、熱重量損失、ゼータ電位などの計測から合成の成功を確認している。またPDAMAEMAはカチオン性を有していることから、FNDに高い分散性を与えるのみならず、細胞内への移行性を高めることも期待できる。HeLa細胞にFND-PDMAEMAを添加、培養し、その後共焦点顕微鏡でFNDの取り込みを評価した結果、未修飾のFNDと比較してFNDの取り込みが大幅に改善していることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は研究計画に従い、高機能化されたFNDの調整に関する研究を進めた。提案した均一化、高分散化、細胞透過性の向上全てに関して良好な結果が得られている。個々の実験については更なる条件の最適化が必要であり、次年度以降も継続する。
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Strategy for Future Research Activity |
開発したFNDを用いて細胞内温度の時空間的なゆらぎを計測し、そのマップを作成する。計測は原田研究室にすでにセットアップされているODMR顕微鏡によって行う(Sotoma et.al., BPPB. 2018)。同時に、温度計測ポリマーを用いて同様の実験を行い既存の技術との比較・検討を行う。
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Causes of Carryover |
FNDを細胞実験に関する試薬購入を計画していたが、新型コロナウイルスの影響で研究活動の当面の凍結が予想され、また長期保存により変性を起こす可能性がある試薬であったため次年度に繰り越すこととした。繰り越した助成金は研究活動が再開され次第、FNDの細胞応用を目的とした試薬の購入に充てる。
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Research Products
(4 results)