2020 Fiscal Year Research-status Report
Identification of Transcription factors in brown adipose cell differentiation by single-nucleus chromatin analysis
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19K16102
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中村 正裕 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任助教 (40634449)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | クロマチン / シングルセル / 遺伝子発現 |
Outline of Annual Research Achievements |
マウス褐色脂肪細胞分化過程において各々のクロマチン構造がどのような順番で変化していくかは知られていない。申請者は、マウス褐色脂肪細胞化過程におけるクロマチン構造の変化に興味を持ち、1-100細胞程度の微量細胞数を用いたクロマチン構造解析法を完成させた。本研究では、今までは細胞数が少なく解析が困難であった、褐色脂肪前駆細胞から褐色脂肪細胞への分化各段階におけるシングル核クロマチン構造解析(オープンクロマチン領域の同定)及びシングル核発現解析を行い、褐色脂肪細胞分化を促進させる新規転写因子を同定していく。また、新規転写因子が褐色脂肪細胞のクロマチン構造をどう変化させうるのかを、少数細胞を用いたChIP-seq解析およびシングルセル発現解析を用いることによって明らかにすることを目的とした。 申請者は準備として、褐色脂肪細胞核におけるシングル核発現解析を行い、1細胞毎に各々遺伝子発現が大きく異なることを見出した。そこで、これらの遺伝子発現変化を指標として、(a)クロマチン構造変化を同定し、(b)新規転写因子の同定へとつなげ、(c)(d)それら新規転写因子とクロマチン構造変化の関わりを解明を試みた。現在、タイムポイントとして、分化前(Day0)、分化初期(Day1-2)、分化中期(Day4)、分化後期(Day6-8)を選択し、各時期特異的な遺伝子発現を同定することに着手している。今後(b)褐色脂肪分化を促進させる新規転写因子の同定として、(a)で同定したオープンクロマチン領域は、転写因子が結合しやすい領域であり、転写因子結合モチーフを多く含んでいるため、新規転写因子モチーフを同定し、転写因子の褐色脂肪分化における役割の解明を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請者は、以前心筋において100細胞程度の微量細胞数を用いたクロマチン構造解析法(改良版ATAC-seq)を開発している。本研究では、今までは細胞数が少なく解析が困難であった、マウス褐色脂肪細胞化過程におけるクロマチン構造の変化に興味を持った。申請者は準備として、褐色脂肪細胞核におけるシングル核発現解析を行い、1 細胞毎に各々遺伝子発現が 大きく異なることを見出している。そこで、これらの遺伝子発現変化を指標として、(a)クロマチン 構造変化を同定し、(b)新規転写因子の同定へとつなげ、(c)(d)それら新規転写因子とクロマチン構造変化 の関わりを解明する研究計画としている。まず、これらの遺伝子発現変化を指標として、(a)クロマチン 構造変化を同定し、(b)新規転写因子の同定へとつなげ、(c)(d)それら新規転写因子とクロマチン構造変化 の関わりの解明を試みた。タイムポイントとして、分化前(Day0)、分化初期(Day1-2)、分化中期(Day4)、分化後期(Day6-8)を 選択し、各時期特異的な遺伝子発現を同定することができた。次に、(a)褐色脂肪分化におけるオープンクロマチン領域の 同定(クロマチン構造解析) 褐色脂肪前駆細胞から褐色脂肪細胞への分化各段階 における、オープンクロマチン領域を改良版ATAC-seqを用いて1細胞毎に同定することを行っている。タイムポイントとして、分化前(Day0)、分化初期(Day1-2)、分化中期(Day4)、分化後期(Day6-8)を 選択し、各時期特異的なオープンクロマチン領域を同定することができており、ポジティブコントロールとなる転写因子のモチーフが濃縮していることを見出した。これらの転写因子をシングル核遺伝子発現解析で検証することを行っているところである。計画は順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在は、分化前(Day0)、分化初期(Day1-2)、分化中期(Day4)、分化後期(Day6-8)を 選択し、各時期特異的な遺伝子発現を同定することに着手し、これらの遺伝子発現変化を指標として、(a)クロマチン構造変化を同定したところであるが、結果の再現性をみるために追加の実験が必要な状況である。今回の褐色脂肪細胞におけるクロマチン構造変化の1細胞解析は、細胞ごとのリードのばらつきが大きく、収量の確保に課題がある。申請者は、以前心筋において100細胞程度の微量細胞数を用いたクロマチン構造解析法(改良版ATACseq)を開発しているが、褐色脂肪細胞ではより細かな条件設定が必要であろうと考えられる。申請者はバッファーや試薬の条件を整理することに加えて、さらにライブラリの収量を挙げる方法を用いることによって、この課題を解決させる予定である。(a)で同定したオープンクロマチン領域は、転写因子が結合しやすい領域であり、転写因子結合モチーフを多く含んでいる。そこで申請者らが脂肪分化細胞解析の際に用いたEMアル ゴリズム(expectation maximization algorithm)を利用し、新規転写因子モチーフを同定する。 (c) 新規転写因子の褐色脂肪分化における役割の解明 (b)で同定した新規転写因子や、シングル核発現解析で得られた候補転写因子について、褐色脂肪各分化段階におけるChIP-seqを行い、新規転写因子がいつゲノム上のどの位置に結 合するか同定し、オープンクロマチン領域とのオーバーラップを検証する。またsiRNA / 発現プラスミドを用い転写因子の発現を調節し、シングル核発現解析を行い、 分化度を比較する。これら転写因子の褐色脂肪分化における役割の解明を目指す。
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Causes of Carryover |
現在進行中の核クロマチン解析の後、新規転写因子の褐色脂肪分化における役割の解明(b)で同定した新規転写因子や、シングル核発現解析で得られた候補転写因子について、褐色脂肪各分化段階におけるChIP-seqを行い、新規転写因子がいつゲノム上のどの位置に結合するか同定し、オープンクロマチン領域とのオーバーラップを検証する。またsiRNA/発現プラスミドを用い転写因子の発現を調節し、シングル核発現解析を行い、分化度を比較するため、次年度使用額が必要である。
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