2021 Fiscal Year Annual Research Report
出芽酵母とリポソームの融合によるin vitro核モデルの開発
Project/Area Number |
19K16103
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
辻 岳志 福井大学, 学術研究院工学系部門, 助教 (30803605)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | リポソーム / 染色体 / 再構成 / 出芽酵母 / 膜融合 / プロトプラスト |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、(1) 出芽酵母のプロトプラスト化におけるプロトプラストの肥大化法の確立とリポソームとの融合および (2) マウス培養細胞から抽出した微小核とリポソームの融合条件の検討を行った。(1) 昨年度までで、リポソームと出芽酵母を融合し、核構造がリポソーム膜に取り込まれた構造体が見られた。しかし、リポソーム内に蛍光タンパク質を封入し、リポソーム内液と酵母の核が同じ区画内に封入できるかについて検討したところ、そのような構造体は見られなかった。その原因として、出芽酵母の細胞壁の除去が完全ではなく、リポソーム膜と出芽酵母が内液混合を起こすほどの膜融合が起こっていないことが考えられた。そこで、細胞壁を除去する酵素を培地に加え、長期培養することで、細胞壁の完全な除去を試みた。得られた肥大化したプロトプラストとリポソームを融合したところ、これまで見られていた核構造が残っている状態だけでなく、染色体がリポソーム区画内全体に広がっている構造体が見られた。 (2) については、マウス微小核を精製し、融合・内封した結果、微小核をリポソーム内に内封することに成功した。 本研究期間全体において、当初は不可能であると考えられていた出芽酵母とリポソームを融合し染色体構造を取り出したin vitro 核モデルを確立できた。この時の課題である融合率の低さも改善でき、当初想定してた核が封入されたin vitro核モデル(in vitro 真核細胞モデル)だけでなく、リポソーム膜を核膜と見立てたin vitro 核モデルも得られた。加えてリポソーム膜に可逆的に孔を開け、内部のタンパク質を除去する手法を確立した。これらを組み合わせることで、非細胞環境下で染色体構造制御機構を詳細に解析可能になる。今後は、これら得られた構造体について、染色体の状態および無細胞転写・翻訳が可能かを検討していく予定である。
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