2020 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19K16104
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岩崎 未央 京都大学, iPS細胞研究所, 特定助教 (10722811)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 転写後制御 / 神経前駆細胞 / プロテオミクス |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト人工多能性幹細胞(hiPSC)の持つ自己増殖能や多能性の詳細なメカニズムには未知の部分が多い。その特徴を明らかにするために、細胞内の遺伝子発現量がmRNAレベルで多く解析されてきた。しかし、mRNAの量とタンパク質の量は必ずしも相関しない。これまでに申請者は、mRNA量には変化が見られなかった数百種類の遺伝子のタンパク質の量が多能性幹細胞において増加していることを明らかにしてきた。本研究では、その現象が神経細胞への分化能に違いのある多能性幹細胞においても認められるのか、タンパク質翻訳の制御機構がどのように異なっているのか、また、分化能との関連性を明らかにしようと考えた。 神経前駆細胞への分化誘導実験に関して、二種類のhiPSCクローンから問題なく分化誘導を行うことができた。多能性幹細胞で転写後制御を受ける遺伝子群のタンパク量は、多能性幹細胞と神経前駆細胞で相関しタンパク量が多く制御されていたが、一方でmRNAの量は神経前駆細胞のみで向上していたことから、タンパク量の制御機構が細胞種間で異なることが示唆された。さらに、二種類の遺伝子に着目し、三胚葉分化中におけるノックダウン実験を行った。その結果、三胚葉分化誘導によって細胞の形態は変化するが、生存する細胞数が減少したことから、これらの転写後制御を受ける遺伝子は細胞生存に影響を与える一方で分化能には関与しないことが明らかとなった。本研究を行う過程で、プロテオーム解析の定量手法を改善し精度の良い定量値のみを選べる手法(RiMS: removal of interference mixture spectra)を開発し、タンパク質の定量精度の向上を実現した(Iwasaki et al., JPR, 2019)。
|
Research Products
(1 results)