2019 Fiscal Year Research-status Report
植物メリステムの比較エピゲノミクスから探る発生制御機構の進化
Project/Area Number |
19K16105
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
保坂 碧 横浜市立大学, 木原生物学研究所, 特任助教 (10837347)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | エピゲノム / 植物幹細胞 / 構造変異 |
Outline of Annual Research Achievements |
トランスポゾンとはゲノムに寄生する反復性の配列であり、転移、増殖することことができる配列である。トランスポゾンは宿主にとって潜在的に有害な因子であり、DNAメチル化などのエピジェネティックな制御のもと抑制されているが、ゲノム進化にも大きく貢献することが知られている。しかしトランスポゾンと宿主の相互作用の分子実体は未だ不明な点が多い。 本研究の目的は、茎頂分裂組織(SAM)で生じるトランスポゾンと宿主の相互作用の分子実体、すなわちSAMにおける(1)トランスポゾンの発現制御の遺伝的基盤、(2)トランスポゾンによる宿主への影響について明らかにすることである。これを達成するため、本研究では栽培イネおよび野生イネを材料に、種間や系統間でトランスポゾンの分布やSAMにおけるエピジェネティックな状態が異なる領域をゲノムワイドに同定し、宿主の遺伝子発現パターンや発生制御に与える影響を比較する。 2019年度では、本研究に用いる栽培種および野生種を選定した。これらの種についてはNBRCより取得した種子を栽培し、次年度以降の解析に十分量の種子を採取した。 これらの種については系統間でのトランスポゾンの分布の違いを明らかにするために、ショートリードシーケンサーによるゲノムリシーケンス解析を行った。また、ロングリードシーケンサーを用いたゲノム構造変異を同定する実験・解析方法を確立した。 同時に、葉における全ゲノムDNAメチル化解析を行い、種特異的なDNAメチル化パターンを見いだした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度では、本研究に用いる栽培種および野生種を選定した。これらの種についてはNBRCより取得した種子を栽培し、次年度以降の解析に十分量の種子を採取した。これらの種については全ゲノムDNAメチル化解析を行った。また、ロングリードシーケンサーを用いたゲノム構造変異解析のための実験・解析方法を確立した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、当初の計画通り、2019年度に確立したゲノム構造変異解析系を用いて栽培種および野生種間でみられるゲノム構造変異を同定する。同時に、メリステムにおける遺伝子発現およびエピゲノム解析を実施し、トランスポゾンがもたらす構造変異とゲノム機能の進化について考察する。
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Causes of Carryover |
学会参加のための旅費として予算を確保していたが、新型コロナウイルスによる影響で中止になったため。また、当初予定した実験も同様の理由で延期したため。
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