2021 Fiscal Year Annual Research Report
翻訳制御を基盤とした大規模な哺乳類細胞コンピューティングの実現
Project/Area Number |
19K16110
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川崎 俊輔 京都大学, iPS細胞研究所, 特定研究員 (10816036)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 合成生物学 / RNA/RNP / 翻訳制御 / 細胞コンピューティング |
Outline of Annual Research Achievements |
大規模な人工遺伝子回路は、細胞機能を自在に制御できるため、合成生物学及び医療研究において注目されつつある。中でも安全性、設計の容易さ、応用可能性の豊富さを兼ね備えている「翻訳を制御できる遺伝子回路の構築」が望まれている。本研究では、新規翻訳制御デバイスの開発と拡充を行い、それらを組合せた高度な遺伝子回路を構築した。新たな翻訳制御デバイスを80種類設計し、その特性を検証した。これらには、入力タンパク質に応じて翻訳を抑制する「OFFスイッチ」、および翻訳を促進する「ONスイッチ」が含まれる。さらに、これらのデバイスが高い直交性を有し、大規模な翻訳制御回路の構築に利用可能かどうか検証した。25種類のデバイスについてその性質を評価し、13種類が高い直交性を示すことを見出した。さらに、開発した人工分子デバイスを組み合わせ、2入力の論理回路と演算回路といった人工遺伝子回路を構築・試験した。特には、OFFスイッチを組合せ、60パターンの2入力ANDゲート回路を設計し、その機能を検証した、また、転写制御システムと組合せることで、より少ない遺伝子パーツを用いてより複雑な回路(演算回路)の構築にも成功した。ここまでの成果について、現在国際誌への論文投稿中である。また、大規模細胞コンピューティングを実現するための基本的な枠組みを明らかにするため、開発したデバイスの機能・特性を検討した。さらに、研究推進の過程で、新たな翻訳制御デバイスの設計原理を発見した。将来的には、構築した遺伝子回路を活用し、治療機能を持つ細胞や、機能を正確にプログラム可能な遺伝子治療薬の開発につなげる予定である。
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