2019 Fiscal Year Research-status Report
プロテオーム情報を用いた共発現解析およびキナーゼ活性推定による癌細胞の薬効予測
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19K16116
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Research Institution | National Institutes of Biomedical Innovation, Health and Nutrition |
Principal Investigator |
鳴海 良平 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所, 医薬基盤研究所 プロテオームリサーチプロジェクト, 特任研究員 (60582202)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | リン酸化プロテオミクス / 大腸がん細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、大腸がんの薬剤感受性を予測するシステムの構築を目標として、35種類の代表的な大腸がん細胞株についてプロテオミクスおよびリン酸化プロテオミクスを行い、これらの細胞内で異常になっている現象やシグナルパスウェイを見つけ出し、さらに、ブロード研究所のCancer Cell Line Encyclopedia(CCLE)で公開されている薬剤感受性の情報を利用することによって、細胞におけるプロテオームの異常と薬剤感受性の関連性を調査する。令和元年度は以下の2つの項目を実施した。 1)大腸がん細胞株の取得: 大腸がん細胞株はATCC、ECACC、医薬基盤・健康・栄養研究所JCRB細胞バンク、理化学研究所バイオリソース研究センターの4か所から、合計35株を入手した。現在21種類まで、解析に必要な量を培養・回収し、ホモジェナイズを行い、解析用サンプルとして-80℃で保存した。今後、残りの細胞株も同様に調製していく。2)微量サンプル用HPLCによる高分解能分画によるリン酸化プロテオミクスの高感度化: リン酸化プロテオミクスのデータから、キナーゼやシグナルパスウェイの活性の解析の精度を向上させるためには、タンパク質リン酸化の定量情報をできる限り多く取得する必要がある。リン酸化プロテオミクス用のサンプルは、プロテオミクスのサンプルよりも大変微量ある為、これまでの従来のHPLCで分画することが困難であった。そこで、従来のHPLC(流速0.2-1 mL)よりも低流速の微量サンプル用HPLC(流速2 μL)を利用することによって、リン酸化プロテオミクス用サンプルを高分解に分画する方法を構築した。それによって、これまで用いられてきたチップカラムによる分画法に比べて、リン酸化部位の同定数を、18%向上させることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
サンプルの細胞株の準備については、コロナによる影響で、当初の予定より少し遅れているが、測定系の改善をほぼ同時進行で進めており、おおむね順調に進めることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
より高感度化した実験系を用いて、これから35細胞株のプロテオミクスおよびリン酸化プロテオミクスを行う。取得したデータを、共変動解析、キナーゼ解析、リン酸化パスウェイ解析を用いて、癌細胞内で異常になっているバイオロジカルプロセスやシグナルパスウェイを解析し、この解析データをCCLEの薬剤感受性データとの回帰分析などにより関連性を調査する。
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Causes of Carryover |
次年度使用する、サンプル処理に必要な試薬を購入する為。
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Research Products
(1 results)