2020 Fiscal Year Annual Research Report
プロテオーム情報を用いた共発現解析およびキナーゼ活性推定による癌細胞の薬効予測
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19K16116
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Research Institution | National Institutes of Biomedical Innovation, Health and Nutrition |
Principal Investigator |
鳴海 良平 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所, 医薬基盤研究所 プロテオームリサーチプロジェクト, 特任研究員 (60582202)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 大腸がん / リン酸化プロテオミクス / プロテオミクス / 薬剤感受性予測 |
Outline of Annual Research Achievements |
癌治療は、分子標的薬の発展により、劇的な改善がもたらされたが、患者によって効果が著しく異なることが問題となっている。そのため、癌の個別化医療の実現に向け、ゲノミクスやトランクリプトミクスを用いた研究がなされてきているが、十分な成果は得られていない。一方、タンパク質は、細胞の活動や機能において主要な役割を担い、リン酸化は、細胞内のシグナル伝達の調節に中心的に働いていることから、これらの分子プロファイルは、細胞の薬剤に対する感受性をより反映しうる。 そこで本件研究では、タンパク質およびリン酸化の分子プロファイルを得て、薬剤感受性の予測方法を開発することを目標とした。 細胞株は、265種の薬剤に対する感受性の情報が得られる、35種類の大腸癌細胞株を用いた。これらの感受性の分子機構をより明らかにするため、通常のプロテオミクス、リン酸化プロテオミクスに加え、シグナル伝達の制御に重要なチロシンのリン酸化に焦点を絞った、リン酸化チロシンプロテオミクスも同時に行った。手法は、ノンラベル定量法に比べ、定量精度の高いTandem Mass Tagging (TMT)法を用い、高深度のデータを得るため、高pH逆相HPLCによるOffline分画を組み合わせ、LC-MS解析を行った。 その結果、平均(±SD)で、9141(±71)タンパク質、22386(±1080)リン酸化サイトの定量値を得て、大腸癌細胞の高深度の分子プロファイルの取得に成功した。また、そのうちリン酸化チロシンは、1241(±71)サイト含まれていた。通常、リン酸化チロシンは少量の為に全体の1-2%ながら、今回の解析は、5.5%含まれており、薬剤感受性予測に有用であると期待される。現在、これらのデータを利用して、感受性予測のためのデータ解析を行っている。
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