2020 Fiscal Year Research-status Report
リソソームはいかにしてストレスを感知し、恒常性維持機構を活性化させるのか?
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19K16118
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
江口 智也 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 特任助教 (60829050)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | リソソーム / LRRK2 / 膜損傷 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞内小器官のストレス、損傷は様々な疾患と関連していることが示唆されている。申請者はLRRK2(leucine-richrepeatkinase2)がリソソームストレスに応答することを発見・報告し、未知のストレス感知機構が存在することが示唆されていたがその実態は不明であった。2020年度はその機構をよりノンバイアスに探索することを試みた。LRRK2と同様にリソソームの浸透圧ストレスに応答し活性化する転写因子であるTFEBを利用した解析系を立ち上げた。TFEBの結合塩基配列をEGFP遺伝子の上流に組み込んだプラスミドを作成した。このレポーターはTFEBの活性化に応じてEGFPの発現が上昇し蛍光強度によりTFEBの応答を定量可能であることを期待した。実際にこのレポーターを細胞に発現させクロロキン処理(リソソームストレス剤, TFEBも活性化することで知られる)を行ったところ、このレポーターはリソソームのストレスに応答している可能性があったものの、EGFPの発現上昇が弱くスクリーニング解析には至らなかった。一方別の解析から脂質膜の損傷を直接検知する可能性のあるタンパク質を発見した。この因子はリソソーム膜の断裂やアポトーシスシグナルによるミトコンドリア外膜の浸透化に応答してそれぞれリソソーム、ミトコンドリアへと集積した。またセルフリーの実験系で合成したタンパク質とリポソーム、脂質ポア形成ペプチドを混合すると脂質のポア依存的にタンパク質がリポソームへと集積することが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルス感染症流行の影響により大学が閉鎖されすべての実験がいったん中断し, また再開後も例年通りには研究を行えなかったため
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Strategy for Future Research Activity |
これまでにリソソームストレス応答因子であるLRRK2が一部のオートファジー関連遺伝子依存的にリソソームに集積することを明らかにしている。今後はこのメカニズムをより詳細に解析していく。また新規に発見した損傷膜集積タンパク質についてその集積メカニズムを解析するとともに、当該因子を用いての損傷オルガネラの可視化を行うことができないか検討を進める。
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Causes of Carryover |
新型コロナなどにより研究の遂行に遅れが出たため。また当初は学会での発表を計画していたが、これもコロナの影響でオンライン開催などとなったため参加を見送い旅費の執行もなくなった。
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