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2019 Fiscal Year Research-status Report

ストレス環境に依存したオートファジーの基質選択機構の解明

Research Project

Project/Area Number 19K16121
Research InstitutionTokyo Institute of Technology

Principal Investigator

武田 英吾  東京工業大学, 科学技術創成研究院, 研究員 (20836366)

Project Period (FY) 2019-04-01 – 2022-03-31
Keywordsストレス応答 / プロテオーム解析 / オートファジー / 出芽酵母
Outline of Annual Research Achievements

細胞質中の生体分子を新規合成された二重膜で包み込み、液胞(リソソーム)で分解するバルクオートファジー(以下オートファジーと表記する)は真核生物に高度に保存されている細胞機能である。近年の研究によりその分子機構への理解が急速に進んでいる一方で、その生理的意義や分解対象となる基質の選択性に関しては理解が進んでいない。そこで本研究では異なるストレス条件に応じ、オートファジーによる分解物が異なるのかを明らかにすることで、その生理的意義への理解を深めることを目的とした。
ストレス条件に応じたオートファジーの基質選択性について明らかにするため、オートファジーを誘導する条件として知られている窒素源飢餓、硫黄源飢餓、グルコース飢餓及びラパマイシン処理の条件において、オートファジー分解物を含むオートファジックボディの精製実験を実施した。また、精製されたオートファジックボディとそれぞれの条件における全細胞抽出液に関して質量分析を用いて解析し、その内容物の比較と各タンパク質のオートファジックボディへの濃縮率の算出を行った。そして現在、各タンパク質において特徴的な濃縮率を示す、もしくはストレス条件に応じて濃縮率が変化したものを抽出し、これらにGFPを付加した株の作成と局在解析を実施している。
現在までの主な成果として、全ての解析条件でオートファジックボディに高度に濃縮される機能未知タンパク質が新規に同定されたことが挙げられる。このタンパク質にGFPを付加して局在観察を行ったところ、栄養増殖時には発現が抑えられているが、オートファジー誘導処理を行うと発現が誘導され、即座にオートファゴソームへ特異的に局在化することで分解されることを見出した。またオートファゴソームへの局在化に必要な領域を調べたところ、わずか40アミノ酸程度の存在がオートファゴソームへの局在化とその分解に必要十分であることが明らかとなった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

上記のタンパク質に加え、本研究により質量分析の結果に基づいたGFPの付加による局在観察により確認された全ての条件で他のタンパク質と比較してオートファジーにより効率よく分解される未報告因子が複数同定されている。従来の考えでは飢餓誘導性のオートファジーは細胞質を非特異的に取り込んでおり、その選択性はあまりないと考えられてきたが、これと反する結果である。このことからオートファジーによる分解は、従来の考えよりも嗜好性があることが示唆され、この点に関して研究は予想外の進展を見せていると言える。
一方でストレス条件間におけるで分解効率が異なるタンパク質の解析に関しては、局在観察の結果による裏付けが完了したタンパク質は未だ同定されておらず、この点に関しては研究開始当初の予定よりもやや遅れているとも言える。主な原因としては上記の全ての条件で効率よく分解されるタンパク質の詳細な解析に時間を割いたことが挙げられる。
遅れている研究箇所も見受けられるが、当初予期した以上の進展が見られる箇所もあるため、おおむね順調に進展していると評価した。

Strategy for Future Research Activity

今後は見出されたタンパク質のオートファゴソームへの局在化を規定するおよそ40アミノ酸の機能について、in vitro解析等を用いて物理化学的な観点から局在メカニズムを明らかにしていく。また、このタンパク質の欠損変異体を用いた解析を行い、このタンパク質の生理的機能を明らかにしていく。ストレス条件間でのオートファジーによる分解基質の比較解析に関しても局在解析を引き続き実施する。

Causes of Carryover

大型振盪培養器の購入を当初予定していたが、申請者が所属している研究棟において実験機材の共通機器化が進んだため、必ずしも導入する必要がなくなったため購入を見送った。
これの代わりとして免疫電子顕微鏡解析を実施した。次年度使用額に関しては、これを継続して実施するための費用として用いる。
また、本研究では想定を超える多数の新規優先的分解基質が見出されたため、2020年度以降に実施されるこれらの相互作用解析を行うための試薬を追加で購入する。

URL: 

Published: 2021-01-27  

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