2022 Fiscal Year Research-status Report
ストレス環境に依存したオートファジーの基質選択機構の解明
Project/Area Number |
19K16121
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
武田 英吾 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 研究員 (20836366)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | オートファジー / プロテオーム解析 / 出芽酵母 / ストレス応答 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究により見出されたオートファジックボディに高度に濃縮されるタンパク質Hab1は、N末端領域に含まれるAtg8に結合するモチーフと、膜に結合する両親媒性ヘリックスによりオートファジーを介して優先的に液胞に送られる性質を持ち、そのC末端領域はリボソームと結合することから、リボソームの分解調節を担うオートファジーレセプターであることが咋年度までの研究から示唆された。一方、Hab1破壊株の解析から、リボソームの総オートファジー分解量の5%程度がHab1の寄与であるというデータが得られていた。 本年度の研究では、Hab1が結合し、分解するリボソームに選択性があるという予想のもと、どのようなリボソームにHab1が結合するかを明らかにすることを目的とした。スクロース密度勾配遠心を実施したところ、Hab1は80Sと60Sリボソーム画分に沈降し、40Sには沈降しなかったことから、Hab1は60Sサブユニット側に結合していることが考えられた。また、Hab1の部分欠失変異を調べたところ、負電荷を持つアミノ酸を多く含む領域がリボソームの結合に重要であることがわかった。これらの結果から、Hab1はリボソーム負電荷の強いRNAではなく、その周辺の60Sサブユニットに関連するタンパク質に結合していることが予想された。 また、本研究で新たにAtf2というタンパク質がオートファジックボディに高度に濃縮されることがわかった。このタンパク質に関しても、Hab1と同様にAtg8に結合する領域と膜に結合する領域を持っていることが変異体解析から分かったため、これら2つの性質はオートファジーにより分解されるタンパク質の普遍的なシグナルとして機能することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究でオートファジーの優先的な標的としてHab1とAtf2が見つかった。並行して実施していた変異体解析によりこの2つのタンパク質に共通した性質が見えてきたため、その点に関して研究は大きく進んだと言える。一方で、論文化に関しては遅れているため、おおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
Hab1が結合する部位を調べ、その情報を元にHab1に結合するリボソームの特徴を調べていく。そのために精製したリボソームと大腸菌から精製したHab1を用いてin vitro結合実験を実施する。結合状態で単離できれば、cross-linking MSもしくはクライオ電子顕微鏡を用いてHab1とリボソームのより正確な結合が明らかになることが期待される。 また、Atg8に結合し、膜にも結合するタンパク質を人為的に作成し、実際にオートファジーで優先的に分解されるようになるかを調べる。
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Causes of Carryover |
次年度の論文の投稿費用を確保するため
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