2023 Fiscal Year Annual Research Report
ストレス環境に依存したオートファジーの基質選択機構の解明
Project/Area Number |
19K16121
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
武田 英吾 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 研究員 (20836366)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | オートファジー / バルクオートファジー / 選択的オートファジー / プロテオーム解析 / 出芽酵母 |
Outline of Annual Research Achievements |
Hab1はN末端にオートファジーにより優先的に運ばれる領域を持ち、C末端にリボソームに結合する領域を持つタンパク質で、Hab1欠損細胞では液胞に送られたリボソーム量が減少し、過剰発現細胞で増加したため、Hab1はリボソームを液胞に運ぶためのオートファジーレセプター様のタンパク質であることが昨年度までの研究で示されていた。 本年度の研究では、進化的保存性に着目してHab1の変異体を作成し、リボソームへの結合に重要なアミノ酸残基を明らかにした。さらに、Hab1を介したオートファジーの様式に対する考察を行った。Hab1は脂質化されたAtg8に特異的に結合するという他のオートファジーレセプターに見られない性質を持つ。また、Hab1は他のレセプターと異なり、その機能が足場タンパク質Atg11に依存しない。一般的な選択的オートファジーではレセプターに対してAtg11が結合することが重要であり、Atg11がコアAtg因子を集め、積荷の周囲に隔離膜を形成する。その後隔離膜上のAtg8にレセプターは結合するが、その意義は隔離膜の伸長の方向性を助けるための補助的役割である。一方でHab1を介した選択的オートファジーでは、飢餓などのシグナルで形成された隔離膜に対し、その膜上に存在する脂質化されたAtg8に対してHab1が特異的に結合することで後から積荷のリボソームを加える。このように選択的積荷を運んでいない隔離膜に対して後から積荷を載せるヒッチハイク型の選択的オートファジーという概念を新たに本研究で提唱する。このような様式の選択的オートファジーが存在することは、今まで非選択的に積荷を運ぶと言われていた飢餓誘導性のバルクオートファジーにも実際には選択的積荷が一定量含まれることを示唆している。今後哺乳類など他の生物においても同様のヒッチハイク型の選択的オートファジーが発見されることが期待される。
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