2022 Fiscal Year Research-status Report
細胞外マトリックス・ビトロネクチンによる肝星細胞活性を介したNASH病因の解明
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19K16122
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
橋本 恵 お茶の水女子大学, お茶大アカデミック・プロダクション, 特任助教 (50835733)
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Project Period (FY) |
2021-11-01 – 2025-03-31
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Keywords | ビトロネクチン / 肝炎 / 線維化 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに我々は、非アルコール性脂肪肝炎モデルVnノックアウトマウスを用い、ビトロネクチン欠損により肝星細胞活性化が抑制されることで、非アルコール性脂肪肝炎症状が軽減することを見出した。さらに、このVnノックアウトマウスではクッパー細胞活性化やサイトカイン発現も抑制されており、ビトロネクチンが非アルコール性脂肪肝炎発症の多様なステップで関与することが示唆されている。そこで、2022年度は、ビトロネクチンが肝炎を誘導するメカニズムの解明を目的とし研究を行なった。 非アルコール性脂肪肝炎は、脂質の肝臓内過剰蓄積が起点となって肝炎・肝線維化を誘導する。まず非アルコール性脂肪肝炎モデルVnノックアウトマウス肝組織の脂質代謝関連遺伝子発現解析を行なったところ、ビトロネクチン欠損による脂質代謝関連因子の発現変動は観察されなかった。このことから、ビトロネクチンは脂質蓄積ではなく炎症・線維化に関わる過程に作用すると示唆された。現在、4週間および8週間の四塩化炭素誘導型肝炎モデルVnノックアウトマウスの作製に取り組み、ビトロネクチンが脂質蓄積に関わらず炎症・線維化を制御することを検証している。 さらに、様々な肝疾患においてビトロネクチンがバイオマーカーとなることが期待されているが、その詳細は不明である。そこで、肝硬変患者の血液および肝臓由来RNAサンプルを用いて遺伝子発現の網羅解析を行い、ビトロネクチンをはじめとする細胞外マトリックスの発現変動プロファイルを実施している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の採択後、海外留学による留保期間を経て帰国後に研究を再開した。研究環境の変化により、実験動物の作製に想定以上の時間を要したため研究進捗はやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、ビトロネクチンが脂質蓄積ではなく炎症・線維化に関わる過程に作用することを、四塩化炭素誘導型肝炎モデルマウスを用いて検証する。具体的には、四塩化炭素を投与したVnノックアウトマウスマウスのクッパー細胞増殖や肝線維化領域といった病理解析、さらには遺伝子発現網羅解析を行う。さらに、ビトロネクチンがクッパー細胞や肝星細胞に作用するメカニズムの解明を行う。特に、肝炎を発症した時のビトロネクチン受容体であるインテグリンの発現・局在変動を明らかにする予定である。
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Research Products
(11 results)