2019 Fiscal Year Research-status Report
巨大単細胞海藻クビレズタにおける翻訳後生体分子の局在解析による形態形成機構の解明
Project/Area Number |
19K16134
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
有本 飛鳥 広島大学, 統合生命科学研究科(理), 助教 (00794603)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 形態形成 / 緑藻 / 多核嚢状体 / セントラルドグマ |
Outline of Annual Research Achievements |
単細胞生物には,数メートルに成長し,多細胞生物に類似した複雑な形状を作り上げる種が存在する。巨大単細胞生物の体内は物理的に区切られておらず,多細胞生物が,多様な性質の細胞を有機的に多数集積することで,巨大かつ複雑な形状の体を作り上げることと対照的である。そのため巨大単細胞生物の形態形成には,多細胞生物とは異なる形態形成のメカニズムが関与していると示唆されるが,その分子機構には不明な点が多く残されている。 本研究では,研究代表者らが全ゲノムを解読した巨大単細胞生物である緑色海藻クビレズタを用いて,形状の異なる部位ごとに含まれているRNAとタンパク質を網羅的に検出し,各種分子の生産部位と最終的な局在部位を明らかにすることを目的としている。1年目である本年度では,RNAの生産部位とタンパク質の局在部位の各データをつなぎ合わせる鍵となるタンパク質に翻訳されている最中のRNAの局在部位を特定するため,リボソームを指標として標的分子を単離し,次世代シークエンスによる網羅的な同定を試みた。しかし,クビレズタの微小な部位に含まれるリボソーム結合RNAの量が,計画していた手法を適用するには不十分であることが明らかになった。そのため標的分子の収量もしくは検出感度を改善にするための条件検討を行なっている。また,この結果から,次年度に計画しているRNAとタンパク質の網羅的検出実験においても,同様の問題が発生することが予測されたため,RNAおよびタンパク質抽出の条件検討を行ったところ,これらについては良好な予備的結果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では,本年度はクビレズタの各部位においてタンパク質に翻訳中のRNAをリボソームプロファイリング法によって特定することを目標としていた。しかし,微小な部位から解析に必要な量のリボソーム結合RNAを得ることができず,標的分子の収量や検出感度などを改善する必要に迫られた。そのため,手法の改良を行いつつ,次年度に実施する予定であるRNAとタンパク質の共局在についての条件検討にも取り組む必要性が生じた。RNAとタンパク質の共局在解析については,リボソーム結合RNA抽出法の改良案を部分的に取り入れた実験系を構築することで,微量サンプルから次世代シークエンスおよび質量分析用サンプルを同時に調製する手法を確立することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に確立した手法を用いて次世代シークエンスおよび質量分析を実施し,クビレズタの各部位におけるRNAとタンパク質の局在についてそれぞれデータを得る。これらと並行してリボソーム結合RNAの解析について,本年度に取り組んだ手法改良をさらに進め,実験の遂行を目指す。
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Causes of Carryover |
当初計画していたリボソーム結合RNAの次世代シークエンスが,研究を進める過程で発生した実験上の問題により実施できず,それに要する費用の支出がなかったため繰り越し経費が発生した。当該の繰り越し経費については,令和2年度にて実験系を改良した上で次世代シークエンスを実施する際に使用する予定である。また,この他に令和2年度の請求経費を用いて,当初の予定通り,クビレズタ各部位のRNAおよびタンパク質の網羅的解析を並行して実施することを計画している。
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