2019 Fiscal Year Research-status Report
ヒトES細胞から胚体外細胞系譜への分化転換に伴う分子機構の解明
Project/Area Number |
19K16135
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小林 記緒 東北大学, 医学系研究科, 助教 (10803885)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ヒト胎盤発生 / 栄養膜幹細胞 / 胚性幹細胞 / 転写因子 / エピゲノム |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト胎児と胎盤は、着床前の初期発生過程において運命決定した内部細胞塊(ICM)と栄養膜外胚葉(TE)から発生する。この運命決定機構を明らかにするため、胚性幹(ES)細胞を用いて栄養膜細胞系列への分化転換が試みられている。マウスの場合、ICMとTEの細胞運命決定には、OCT4とCDX2が必須である事が知られているが、ヒトでは明らかになっていない。本研究では、ヒトES細胞からTS細胞に分化転換するモデル(ES-TS細胞)を作成し、分化転換に伴う転写因子ネットワークとエピゲノム変化について解析する。 本年度は、ヒトTS細胞培養条件下で、ヒトES細胞にBMP4を添加し、TS細胞様に分化転換を示すES-TS細胞の作成に成功した。ES-TS細胞は、長期間にわたって自己複製能を維持し、TS細胞と類似した細胞形態をもち、胎盤特異的な転写因子の発現上昇、ES細胞特異的な転写因子の発現低下を示した。さらに、ES-TS細胞について、トランスクリプトーム解析とDNAメチル化解析を行い、TS細胞と比較した。その結果、遺伝子発現プロファイルはTS細胞と類似しており、ゲノム全体のメチル化レベルはES細胞では高度にメチル化されていたが、ES-TS細胞ではTS細胞と同程度まで脱メチル化が起こっていた。一方、ES-TS細胞では、複数の胎盤特異的に発現を示す遺伝子において発現量やメチル化レベルがES細胞と類似していた。今後、胎盤特異的な遺伝子の機能について調べるため、ES-TS細胞やTS細胞への遺伝子の強制発現やノックアウトの条件検討を行い、レンチウイルスによる遺伝子の強制発現やCRISPR-Cas9システムによるノックアウトが可能であることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、ヒトES細胞からTS細胞に分化転換するモデルを構築し、複数株のES-TS細胞を作成することに成功した。また、次年度に行う遺伝子の強制発現やノックアウト実験のための条件について検討を完了した。
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Strategy for Future Research Activity |
我々は、ヒトTS細胞、ES細胞、ES-TS細胞のトランスクリプトームやDNAメチル化データから、ES-TS細胞がTS細胞とよく類似した遺伝子発現プロファイルとエピゲノムステータスをもつことを明らかにした。次年度は、ES-TS細胞とES細胞において類似した複数の胎盤特異的な遺伝子に着目し、遺伝子強制発現およびノックアウト系を用いて、これらの遺伝子の機能解析を進める。
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[Journal Article] The risk of secondary sex ratio imbalance and increased monozygotic twinning after blastocyst transfer: data from the Japan Environment and Children’s Study2019
Author(s)
Hattori H, Kitamura A, Takahashi F, Kobayashi N, Sato A, Miyauchi N, Nishigori H, Mizuno S, Sakurai K, Ishikuro M, Obara T, Tatsuta N, Nishijima I, Fujiwara I, Kuriyama S, Metoki H, Yaegashi N, Nakai K, Arima T; Japan Environment & Childrens Study Group
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Journal Title
Reproductive Biology and Endocrinology
Volume: 17
Pages: 27
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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