2021 Fiscal Year Annual Research Report
Toll/Irak1の新規機能:頭部を誘導する分子メカニズムの解明
Project/Area Number |
19K16138
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山元 孝佳 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教 (70724699)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 頭部形成 / 発生・形態形成 / Toll様受容体経路 / 細胞分化 / アフリカツメガエル |
Outline of Annual Research Achievements |
Toll様受容体経路(以下、Toll経路)は自然免疫応答において重要な役割を担っている。一方初期発生においては、Toll経路関連因子の発現量は多いものの、その役割については神経細胞サブタイプの分化に関わることが知られるのみでほとんどわかっていない。そこで本研究では、Toll経路の因子の1つであるIrak1を用いて、この経路が脊椎動物の初期発生で担う役割とその作用機序を明らかにすることを目的とした。 本研究ではこれまでに、(1)Irak1がアフリカツメガエル胚の頭部形成に必須であり、このIrak1の機能には自身のkinase活性が必要であること、またこの際に、(2)Wnt経路を活性化しており、その作用点はbeta-cateninやGSK3βよりも上流であることを明らかにしてきた。 そこで今年度はIrak1のWnt経路における作用点をさらに絞るため、これらの上流で機能するDishevelled(Dvl)に着目した。dominant-negative Dvlを頭部予定領域に注入すると頭部誘導が抑制されるが、Irak1の共注入でその表現型は回復しなかった。これらの結果から、Irak1はDvl、あるいはその上流に作用することが明らかになった。Irak1はツメガエル胚でリン酸化されており、Irak1のkinase dead変異体ではこのリン酸化レベルが低いことがわかった。また、Dvlのリン酸化レベルはIrak1の注入によって顕著な変化は見られなかった。これらのことから、Irak1は他のタンパク質をリン酸化するのではなく、自己リン酸化によって、Dvlあるいはその上流に作用し、Wnt経路を活性化している可能性が考えられる。またWnt経路は胚の後方化にも作用するが、この際にもIrak1はWnt経路に促進的に作用することを明らかにした。これらの結果を元に、論文執筆中である。
|
Research Products
(3 results)