2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K16144
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
秋山 隆太郎 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 助教 (00790403)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | クッペル胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
多細胞生物の器官は、その機能に応じた様々な三次元構造をとるが、肺胞や腎臓のボーマン嚢にみられるような球形もその基本構造の一つである。実際の生体内では真球形をとるわけではなく、各組織での機能発現に適した半球や楕円体に調節されていると考えられるが、そのしくみはよくわかっていない。本研究では、ゼブラフィッシュの左右差決定器官クッペル胞(KV)の楕円体形成をモデルとし、器官の楕円体形成と機能の定量的な解析・理解を目指す。胚発生過程では100個程度のKV細胞が楕円体の内腔を形成し、内腔面の微繊毛の回転によって反時計回りの水流(ノード流)が発生することで、内臓の左右差が規定される。したがってKVは、楕円体(KV内腔の形態)とその機能(ノード流・左右差)を定量・評価するのに適した実験系である。 本研究では特に、予備実験から得られた二つの作業仮説1)KV内腔の3次元変形が正常なノード流の生成に必要である、2)ノード流がKV内腔の3次元形態を制御している、の検証を通じ、クッペル胞における楕円体構造とその機能との相互作用を明らかにすることを目的とする。今年度は主に、内腔変形によるKV機能への影響を調べるため、KVに外力を加えて内腔の変形を操作する方法について検討した。KVに外力を加えるための胚操作法として、胚を樹脂板で挟み込んで胚全体を変形させる方法や、KVの近傍組織にゲル剤を注入して胚を局所的に変形させる方法を試みたが、これまでのところ目的の変形を引き起こすことはできていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
内腔の形態を操作するため、胚を樹脂板で挟み込む方法や、KVの近傍にゲル剤を注入する方法を試みたが、目的とする内腔の変形を引き起こすことができていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
内腔の形態を外力により物理的に操作する方法について引き続き検討するとともに、一部のKV細胞の収縮を遺伝学的手法により操作するといった方法についても試みる。
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Causes of Carryover |
内腔の形態操作に関連する実験が遅れており、動物維持や試薬購入のための費用に未使用額が生じたため、次年度もこれらの費用として使用する。
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Research Products
(1 results)