2020 Fiscal Year Annual Research Report
内胚葉から食道領域が間充織とともに作り出される機構
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19K16148
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Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
寺元 万智子 基礎生物学研究所, 再生生物学研究室, 特別協力研究員 (10793747)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | マウス / 内胚葉 / SOX2 / 食道 / 気管 / AFG |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究から、内胚葉が作られる7.5日胚の時に内胚葉特異的に転写因子SOX2の発現が失われると、内胚葉から発生する食道と気管が分岐せずに一本の管として発生し、この管を取り囲む間充織は気管の性質であり、上皮と隣接して平滑筋とSOX9発現細胞(軟骨前駆細胞)が野生型の気管間充織と同様のパターンであることが観察されていた。ところが、16日胚を観察すると、野生型では間充織に形成される軟骨が、SOX2失活胚では形成されていなかった。 これは、上皮でのSOX2の発現が、食道上皮/間充織の発生だけでなく、呼吸器間充織における軟骨の成熟に必要であることを示している。そこで、2020年度は、SOX2を失活させるタイミングを変化させてどのタイミングのSOX2の発現が、呼吸器間充織の軟骨の成熟に関与するかを調べることにした。
2020年4月から私の所属先が変更になり、新しい所属先のマウスSPF飼育施設へ遺伝子組み換えマウスの導入が必要になった。導入には人工授精によるマウスのクリーニングが必要であったため、所属先にあるモデル動物研究支援センターのご協力を得て、系統導入を行った。2020年4月に出された緊急事態宣言により、人工受精は8月下旬に実施することになった。京都産業大学のSPF動物飼育室より輸送された遺伝子組み換えマウスから精子を採取し、野生型B6メスマウスの卵子と人工授精して仮親に移植し、ヘテロノックインマウスを得た。さらに、ヘテロノックイン個体同士を交配し、ホモノックイン個体の作製を行った。ホモノックイン個体の数も増えつつあり、今後の研究に活用する。 同時にヘテロノックインマウスを交配して胚を採取し、採取した胚の遺伝子型をPCRによって確認した。SOX2が完全に失活した胚組織が一部含まれていることを期待したが、SOX2が完全に失活した胚組織は現在までにまだ得られていない。
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