2020 Fiscal Year Research-status Report
Identification of the targets of nuclear PIWI-piRNA complexes important for the planarian adult pluripotent stem cell system
Project/Area Number |
19K16149
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
鹿島 誠 青山学院大学, 理工学部, 助教 (10780562)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 幹細胞 / プラナリア / PIWI / piRNA / 再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究では、プラナリア成体全能性幹細胞(aPSC)の維持・制御に重要な遺伝子であるPIWIの機能解明のため、その標的遺伝子の同定を目的としている。PIWIは様々な生物の全能性あるいは多能性幹細胞で発現していることが知られているが、幹細胞におけるPIWIの機能はわかっていない。 プラナリア D. japonicaでは、三種類のpiwi遺伝子(DjpiwiA, DjpiwiB, DjpiwiC)がaPSCで発現しており、遺伝子機能阻害を行った際の表現型(再生不全と幹細胞の消失)はDjpiwiB > DjpiwiC >>> DjpiwiAの順で重篤である。本年度は、これら三種類のpiwi遺伝子及びDjPiwiBのパートナータンパク質をコードしている可能性がある遺伝子の機能阻害を行い、RNAi後から毎日経時的なサンプリングを行った。そして、代表者が開発に携わったLasy-Seq及び独自の多検体RNA抽出手法を用いて、各遺伝子の機能阻害がトランスクリプトームに与える影響を経時的に明らかにした。テンソル分解による変数選択法によって上記の経時RNA-Seqの結果を解析することで、再生不全に関連する候補遺伝子を同定することに成功した。 加えて、新規にDjPiwiA及びDjPiwiCに対するモノクローナル抗体を作成する共同研究を開始し、抗原ペプチドの作成に成功し、予備実験で抗体の産生が確認された。しかし、緊急事態宣言の影響で免疫実験を中止せざるを得ず、抗体の産生は次年度に持ち越しになった。 また、プラナリアゲノム解読を先進ゲノム支援のもとに進め、ショートリードシークエンスが完了した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度では、①再生不全の原因となるPiwiの標的遺伝子の同定、②抗PiwiA, PiwiC抗体の産生、③piRNAに基づくPiwi標的遺伝子同定のための、プラナリアゲノム解読を目標とした。 ①に関しては、piwi及びそのパートナー遺伝子のRNAi個体の経時RNA-Seqの結果をテンソル分解法で解析することで、再生不全の原因となる可能性がある百程度の発現変動遺伝子の同定に成功している。一方で、トランスクリプトーム全体では表現型の重篤さの差異から想定していたほど、大きな変化がないことから、piwiB RNAi個体で見られる再生不全にはエピゲノム制御の異常にも起因する可能性も示唆された。 ②抗原のペプチドの作成までは完了し、共同研究者のもとで予備実験でマウスに投与したところ抗体の産生も確認された。しかし、緊急事態宣言の影響で予備実験は中断されたため、piRNA-Seqに使用使用できる抗体の入手には至っていない。 ③先進ゲノム支援の受け、プラナリアDugesia japinicaのゲノム解読を行った。すでに、ショートリードで80x程度のシークエンスデータを入手している。ゲノム解読に使用したクローナル集団のゲノムの多様性が想定以上に高く、ロングリードシークエンサーによる解析の必要性が強く示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
ゲノム解読が完了し次第、piRNAに基いてPiwiが直接標的としうる遺伝子を絞り込み、再生不全の原因となり得るかの検証をRNAi等の手法を用いて行っていく。また、抗体の作成完了後、PiwiA結合piRNAとPiwiC結合piRNAのpiRNA-Seqを行い、プラナリアにおけるpiRNA産生機構の解明を目指す。すでに得ている、piwiC (RNAi)個体に対するPiwiB結合piRNA-Seqの結果から、一部のPiwiB結合piRNAの産生には、ほかの二種類Piwiに結合するpiRNAが必要である可能性が示唆されている。そのため、PiwiB結合piRNAの産生機構の解明の解明もまた、全能性幹細胞制御におけるPiwiBの重要性を理解する上で有用であると考えている。
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Causes of Carryover |
コロナパンデミックの影響で、実験が予定通り進行できなかったため、次年度使用の必要性が生じた。抗体の作成及びシークエンス解析のためのゲノム抽出等の消耗品購入に使用予定である。
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Research Products
(1 results)