2021 Fiscal Year Annual Research Report
マウス初期発生におけるdisallowed genesの解析
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19K16151
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Research Institution | Okinawa Institute of Science and Technology Graduate University |
Principal Investigator |
添田 翔 沖縄科学技術大学院大学, 細胞シグナルユニット, ポストドクトラルスカラー (40783858)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 初期発生 / 卵細胞 / mRNA制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
卵細胞特異的CNOT7&8 KOマウスから卵細胞を回収し、その表現型の観察を行なったところ、CNOT7&8 KO卵細胞では減数第一分裂期で発生が停止する異常が見られた。CNOT7&8 KOで見られた減数第一分裂で発生を停止した卵細胞では、分裂期染色体整列の異常は見られず、紡錘体形成チェックポイント阻害剤を用いても発生の停止を解除できなかった。続いてEmi2の発現(正常卵ではMII期に発現し細胞周期を停止させる働きを持つ)を調べたところ、CNOT7&8 KOではMI期ですでに発現が始まっていることがわかった。また、Emi2のmRNA発現量は変化がなかったが、poly-A鎖が伸長しており、翻訳中のリボソームに結合している量も増えており、Emi2 mRNAの翻訳活性の上昇により発現が誘導されていると考えられる。これらのことから、CNOT7&8 KOの発生の停止はEmi2 mRNAの翻訳制御の異常によりMII停止機構が早期に機能することによるものであると示唆された。 これまでCCR4-NOT複合体は母性mRNAの分解に働くことが示唆されていたが、今回の解析からCCR4-NOT複合体はこれより早期にpoly-A鎖長の変化による翻訳制御に重要な機能を持つことがわかった。分解されるべきmRNAに加え、翻訳されるべきではない遺伝子もdisallowed geneと考え、その同定のためにGV期のCNOT7&8 KO卵細胞を回収し、RNA sequencing解析、タンパク質の質量分析を用いたプロテーム解析を行なった。二つの結果を比較し翻訳量が増加していると考えられる候補遺伝子を得た。さらにポリソームフラクショネーション解析によりこれらの候補遺伝子の翻訳量が上がっていることを確認した。これらの解析よりCCR4-NOT複合体が卵細胞において翻訳を制御するdisallowed geneが同定された。
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