2021 Fiscal Year Annual Research Report
Regulatory mechanism of stem cell establishment during axillary bud formation in rice
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19K16160
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
田中 若奈 広島大学, 統合生命科学研究科(生), 助教 (10725245)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 腋芽幹細胞 / 腋芽メリステム / イネ / ブランチ / 分げつ |
Outline of Annual Research Achievements |
D-type cyclin (CYCD) は、シロイヌナズナの様々な発生現象に関与していることが報告されていた。シロイヌナズナの 10個の CYCD のうち、CYCD3 サブグループに属する3つの CYCD は、ブランチ形成やシュート頂メリステム活性制御において重要な働きをしている(Dewitte et al., 2007)。イネにおいては、CYCD3 サブグループには OsCYCD3;1 のみが存在していることが知られていたものの、発生における機能については未解明であった。今年度は、この OsCYCD3;1 の機能解明を目指して研究を実施した。 まず、OsCYCD3;1 の時空間的な発現パターンを解析した。その結果、OsCYCD3;1 は、腋芽メリステムの予定領域において発現を開始し、完成した腋芽メリステムと葉原基において発現していた。この結果から、OsCYCD3;1 が、腋芽形成に関与している可能性が示唆された。次に、CRISPR/Cas9 によって、oscycd3;1 機能欠損変異体を作出し、表現型を解析した。その結果、野生型と比較して、有意にブランチ数が減少することが判明した。切片作製により腋芽を観察したところ、oscycd3;1 の腋芽メリステムは、野生型のものと比較して、サイズが小さかったり、形が歪であることが明らかになった。また、これら異常は、oscycd3;1 の腋芽形成過程の段階から観察されることが判明した。oscycd3;1 では、腋芽メリステムの活性が正常に維持されておらず、それが原因で、ブランチ数が減少すると考えられた。 以上の研究によって、OsCYCD3;1 は、腋芽メリステム(幹細胞)の活性制御に重要な働きをしていることが明らかになり、本成果を Journal of Plant Physiology 誌に発表した。
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