2022 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19K16172
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
須崎 大地 横浜市立大学, 木原生物学研究所, 特任教員 (20757869)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 雌性配偶体 / 助細胞 / 卵細胞 / 花粉管誘引 / アクチン |
Outline of Annual Research Achievements |
雌性配偶体は被子植物の繁栄を支える重複受精に不可欠な組織である.形成過程は独特で,1つの細胞が3回の核分裂を経て多核体となった後に細胞化し,それぞれ固有の機能を獲得する.各細胞の運命決定には多核体での核の位置や植物ホルモンの分布の違いが重要であると示唆されているが,その時期や分子実体は明らかでない.本研究では,雌性配偶体の細胞運命決定を担う分子基盤を明らかにするために,シロイヌナズナを用いて逆遺伝学的解析をおこなっている. 今年度は,精細胞と受精する助細胞を産み出せるか試みた.先行研究で助細胞の細胞運命が部分的に卵細胞様になる変異体を背景に,助細胞において卵細胞や初期胚で特異的に発現する転写因子群をそれぞれ強発現した.複数の系統で稔性の低下がみられ,そのうち1系統では導入遺伝子のホモ接合体が取得できなかった.これは助細胞がさらに卵細胞様に変化したことを示唆する.授粉後の胚珠を観察して胚発生を確認する必要がある.また,助細胞内のアクチン繊維が花粉管誘引ペプチドの極性分泌を制御することを明らかにし,国際誌に論文を出版した.ライブイメージングと遺伝学的,薬理学的手法を駆使して助細胞のアクチン繊維と微小管の機能を詳細に解析した.興味深いことに,花粉管の放出で一時的に消失したアクチン繊維が,経時的に回復することを見出した.これは受精失敗時に残った助細胞が花粉管誘引を再開するための機構だと考えられる.
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Research Products
(9 results)