2019 Fiscal Year Research-status Report
Mechanism of development of epithelial structure induced by ductal structure and physical factors
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19K16177
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中島 忠章 東京大学, 生産技術研究所, 特任助教 (40631213)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 上皮立体構造 / 三次元デバイス / コラーゲンゲル / 応力 / ヤング率 |
Outline of Annual Research Achievements |
内胚葉由来腸上皮細胞株CACO2を、三次元管腔培養様のデバイス用いて、柔らかいコラーゲンゲル足場上に管腔状上皮層を形成したところ、上皮層の絨毛様構造が誘導された。さらに、生体腸上皮においては絨毛の根本の部分でのみ細胞増殖が起きるが、三次元腸管腔デバイスにおいても、絨毛様構造の根本の部分において細胞増殖が起きていた。また、二次元培養においては、絨毛様の組織的立体構造を誘導せず、細胞も扁平状で微絨毛形成も未完成であったが、三次元腸管腔デバイスにおいては、細胞が立方状になり、微絨毛が細胞表面を埋め尽くしていた。この立体構造を有したより高度に分化した腸管上皮を用いることで、高い吸収能と生体用の炎症様現象を再現することができた。これらの構造は、管腔状の柔らかいコラーゲンゲル足場に腸上皮細胞を播種したことで、細胞同士が押し合う応力の不均衡が生じ、絨毛様の突起形成と細胞分化の引き金となったことが予想される。 中胚葉由来血管内皮細胞を管腔状のコラーゲンゲル足場に播種すると、逆方向にコラーゲンゲルに侵入する血管新生を誘導する。この血管新生は、コラーゲンゲルに線維芽細胞を入れることで促進され、かつ老化線維芽細胞によってより促進された。老化線維芽細胞は正常なものよりも強いけん引力を有していることもわかり、線維芽細胞のけん引力によって誘導された、コラーゲンゲルの凝集により、足場の硬さが硬くなることによって、血管新生が強く誘導された可能性が示唆された。 このように、胚葉由来が異なることによって突出か陥入かは異なるが、管腔状に制限された足場によって上皮の立体構造が形成され、その構造は足場の硬さによって変化するという、胚葉を超えた共通性が考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在、当初予定した胚葉を超えた応力による上皮立体構造形成について、内胚葉と中胚葉について検討することができた。また、一つのモデルにおいて、足場の硬さの変化がその立体構造変化の一つのパラメーターであることが示唆されている。 三次元腸管デバイスにおいては、特許提出済みであり論文投稿準備中でである。線維芽細胞における血管新生の制御においては、論文投稿済みである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、他種中胚葉上皮細胞である子宮においても、同様に管腔状に制限した足場が上皮立体構造である子宮腺を誘導するのかどうかを調べる予定である。また、腸管、血管、子宮において、足場の硬さを細胞を用いずに光重合によって直接コントロールし、実際に足場の硬さが上皮立体構造誘導のトリガーとなっているかを確認する。 上皮の応力のみで立体構造が誘導されているのかどうかは、上皮細胞の形から応力を推測するバーテックスモデルを利用して解明する。
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Research Products
(5 results)